明後日の風
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「夏が暑かったなんて、忘れちゃいましたねぇ〜」 関西弁の脳天気な声がラジオから聴こえて来る。
「そうそう」 と心で相槌を打ちながら、僕は友人の車の助手席に乗って、京都の街を眺めている。
秋。
全国各地からの観光客で京都の街は溢れている。 「この飛び石連休がピークちゃう」 京都在住の友人は「いつもそんなもんだ」という風で、あまり関心はないようだ。
車は駅から北に向かった。堀川通り。幕末所縁の壬生寺、二条城。御池通りに入り、東へ。 「新しいビルが建ったなぁ〜」 洒落た古都というイメージが溢れる街に、御池通は変貌していた。昔から変わらないのは京都市役所くらいだろうか。
観光客集積地の鴨川を渡り、昔は京阪電車が走っていた川端通りを南下する。 渋滞は酷いものだが、正直、この時期の京都を感じるには悪くないルートだ。
僕にとって、めっきり夜を楽しむ場所になってしまった京都。その日本的な落ち着きを好んでいるのだが、久しぶりに昼間を眺めると、その違いがあからさまになる。なんとなく京都の目指すところは、ヨーロッパの香りらしい。
初冬の頃、観光客が去った頃に、静かに歩いてみたい、そう思った。
さわ
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