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遺書と屍
羽月
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2010年03月10日(水)

死にたいなんていつも思ってるよ
生きてたいって思ったことなんていつもすぐ忘れるよ
もっと思わせてよ
生きてたいってもっと思わせてよ
死にたいって思ってたことなんてすぐ忘れさせてよ
いつも思い出すよ すぐに思い出すよ
死にたいって 死にたいって何度も何度も
わたし弱いんだからいつだって思ってるよ
死にたいよ
なくなってしまいたいって
いつだって思ってるよ
もう感じなくなりたいって
何にも見たくないって
甘えだって
わかってるよ

わかってるよ
わかってるよ
わかってるよ
甘えるな

弱音なんて吐くなって
泣き顔なんて見せるなって
わかってるよ 甘えんな
全部自分の招いたことだって
わかってるよ 甘えんな 甘えんな 甘えんな
わがままだとか
弱音だとか
泣き言だとか
そんなもの一切言っちゃいけないってわかってる
他人には鬱陶しくて面倒くさくて無用の長物
自分ひとりで何とかしなくちゃだめだって

わかってるよ 投げ出したい
わかってるよ 逃げ出したい
わかってるよ ここからいなくなってしまいたい

はやくわたしがなくなってしまえばいいのに。


*


足枷はちゃんとついてる?
手錠はちゃんとある?
準備はできた?

ひとりだちをするはずなのに、どこまでもそう。
ずっと手の中。
あれは建前なの? 本音なの?
わたしには見分けがつかない。

見えない足枷。見えない手錠。行き過ぎる前に引っ張ればいいのに。
行き過ぎてからいつも引っ張るよね。あなたのせいじゃないけど、あなたのせいにしたい。
それは心配なの? 保身なの?
わたしにはやっぱり見分けがつかない。

壊れてしまいたいとよく思う。
わからなくなってしまいたいとよく思う。
なんにもいらない。もう、そうなれるならなんにもいらない。
なにもかもわからなくなってしまいたい。
迷惑を、かけない存在になりたい。
わたしはわたしを殺してしまいたい。
もうここからいなくなりたい。
それでもきっとそれは、甘えでしかない。

どうせ死ねないくせに。
どうせ死なないくせに。
うそつき。
うそつき!


*


優越感と劣等感は似ている。表裏一体だ。
わたしはずっと、優越感を持っていたわけじゃない。ずっと、ずっと、劣等感ばかり持っていた。
悪態を吐かれながらも愛される兄を憎んだ。大嫌いだった。
ずっと、ずっと、劣等感塗れだ。
どんなことをしても愛される弟も憎んだ。
わたしは、いいこじゃない。
優等生じゃない。
でも、そうじゃなきゃ愛されない。
お兄ちゃんじゃないもん。弟じゃないもん。
なんでもよくできなきゃ、わたしの存在価値なんてない。
わたしはずるくて、卑怯で、臆病者だ。
兄や弟を批判することで優越を保った。いい子でいること以外、わたしの存在価値なんかなかったから、違和感を持たれない程度にいい子になった。気持ちがよかった。わたしは、ずるくて、卑怯で、臆病だ。
変われない。わたしは、わたしを出せない。出していない今でだって、輪からは外れがちなんだから、出せやしない。
貝のように口を閉じて、機を待つ。
なんて、卑怯なんだろう。