観能雑感
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2006年05月07日(日) 観世会 定期能

観世会 定期能 観世能楽堂 AM11:00〜

 関根祥人師のシテがあるので観に行くことにした。中正面後列脇正面寄りに着席。見所は満席。
 持病による痛みで目が覚めて以降眠れず、睡眠不足。連休最後の日にして久し振りの早起き。バイオリズム上眠気が避けられない等数々の悪条件が重なったところに、α波を誘発する謡と囃子の音を浴びたため、今だかつて経験したことがないくらいの眠気の大海をたゆたっているうちに全番組が終了してしまった。無念。というわけで、今回感想を記すには至らないため、靄のかかった意識の中で覚えていることのみ記載。

能 『敦盛』
シテ 関根 祥人
シテツレ 松木 千俊、清水 義也、野村 昌司
ワキ 高井 松男
アイ 野村 扇丞
笛 一噌 幸弘(噌) 小鼓 古賀 裕己(大) 大鼓 守家 由訓(観) 
地頭 武田 宗和

 祥人師のハコビはまさに足の裏と舞台が磁力で引き合っているかのよう。きちんと持ち上がったつま先から足があがり、引っ張られるように再び板の上へ戻っていく。謡は父上に良く似ていると思う。身体も声も堅牢でありながら、物語に引き込まれて行くような広がりがでないのは不思議であると、茫漠とした意識の中考えた。地謡は揃ってはいるけれど、腹がない感じ。
 今回初めて観世流大鼓を聴いた。

狂言 『文荷』 
シテ 野村 萬
アド 小笠原 匡、野村 万蔵

 小笠原師が主の役。思えば狂言は、主のいない間に様々な方法で使用人達が憂さ晴らしをするという内容の曲が多い。複数で憂さ晴らしをするには共通の対象が必要であり、主人という存在はうってつけなのだろう。引っ張り合って破れてしまった手紙を返事であると渡す結末、何度見ても面白い。

能 『隅田川』
シテ 梅若 万三郎
子方 観世 善顕
ワキ 宝生 欣哉
ワキツレ 則久 英志(番組未記載)
笛 藤田 大五郎(噌) 小鼓 北村 治(大) 大鼓 亀井 忠雄(葛)
地頭 谷村 一太郎

 万三郎師がどのような装束合わせをするのか楽しみだったが、縫箔は紺地に籠と草の模様があしらわれ、梅若が埋められている塚を連想させた。水衣は光沢のある浅黄。子方は最初から塚に入っていた。途中から入るのは興ざめが否めない。母の念仏に亡き子の声が重なる場面は胸を突かれる。

仕舞
『道明寺』  観世 恭秀
『安宅』  高橋 弘
『松風』  野村 四郎
『歌占』キリ  武田 宗和

能 『善界』白頭
シテ 岡 久広
シテツレ 藤波 重彦
ワキ 森 常好
ワキツレ 舘田 善博、森 常太郎(番組に記載なし)
アイ 吉住 講
笛 寺井 宏明(森) 小鼓 大倉 源次郎(大) 大鼓 佃 良勝(高)  助川 治(観)
地頭 角 寛次郎

 小書のとおり、後シテの装束はすべて白が基調になっていた。留め間際に揚幕前から脇座のワキに向かって数珠を放るのが印象的。仏法に対する敗北感の表出なのだろうか。

 隣の高齢男性、肘掛を占領、さらに越境。防御のためこちらが肘を置いても躊躇なし。足も越境、大きく音を立てて謡本をめくる。疲弊。周囲にどんな人が座るかは毎回賭けだが今日は完全にハズレ。


こぎつね丸