時々管理日誌
時々だけ書く管理人の日誌です。
サイト運営や創作について、日々の雑感など。

2023年11月26日(日) ワンライ企画に参加中です。

異世界風土記さん主催のワンライ企画に参加しました。
お題に沿って、一時間で書けるところまで書くという企画です。
実際には途中から始めたから30分くらいしか書けてないんだけど、投稿時間が決まってるから、とりあえず書けたところまで、ここにUPします。

ーーーーーーーーー
【時間切れ・途中までバージョン】

大好きな従兄のユウアム兄(にい)さまが<西の大屋根>にお婿に行ってから、もうすぐ七年。
それからずっと、プディヤたち<北の大屋根>の姉妹は、折々の節目ごとに彼のための衣類を誂え、<糸の姉妹>の呪力を込めた刺繍を施し、婿入り先に届けている。
その役目は、毎回のようにプディヤが担っている。
ユウアムが幼いプディヤをいかに可愛がっていたか、プディヤがユウアムをいかに慕っていたかを、<大屋根>じゅうのみなが知っているから。
まだ幼くて同じ<大屋根>の兄妹は夫婦になれないという当たり前のことを知らなかった自分が「大きくなったらユウアム兄さまをお婿にするの」と言っていたらしいのを、未だに皆が覚えていて、ことあるごとに微笑ましげにからかわれるのは不本意で、そのたびに、
「だって、小さかったんだから、しょうがないじゃないの!」と頬を染めて抗議するのだが、そのおかげで、こうして、ユウアムに会う機会をみなが譲ってくれるのは、正直に言ってありがたい。
一児の父となり、若者の甘やかさを脱ぎ捨てて精悍さを増した兄さまの、

ーーーーー
はい、時間切れ!
続きは近日中に書きます。

追記:11/26 17時

とりあえず書き上げました。

ーーーーー
【加筆版】

大好きなユウアム従兄(にい)さまが<西の大屋根>にお婿に行ってから、もうすぐ七年。
それからずっと、プディヤたち<北の大屋根>の姉妹は、折々の節目ごとに彼のための衣を誂え、<糸の姉妹>の呪力を込めた護りの刺繍を施し、婿入り先に届けている。
届ける役目は、いつもプディヤのものだ。
ユウアムが幼いプディヤをいかに可愛がっていたか、プディヤがユウアムをいかに慕っていたかを、<大屋根>じゅうのみなが知っているから。
まだ幼くて同じ<大屋根>の兄妹は夫婦になれないという当たり前のことを知らなかった自分が「大きくなったらユウアム兄さまをお婿にするの」と言っていたらしいのを、未だに皆が覚えていて、ことあるごとに微笑ましげにからかわれるのは不本意で、そのたびに顔から火が出る思いで「だって、小さかったんだから、しょうがないじゃないの!」と抗議しては、なおさら笑いを誘ってしまうのだが、そのおかげで、こうして、ユウアムに会いにゆく機会をみなが譲ってくれるのは、正直に言ってありがたい。
一児の父となり、若者の甘やかさを脱ぎ捨てて精悍さを増した兄さまの、昔と変わらぬ優しい笑顔を思い浮かべて、プディヤはうっとりと、膝の上の衣を撫でた。

今年もプディヤは、冬の間中かけて、ユウアムの衣にびっしりと吉祥文様を刺繍したのだった。
呪力を込めた刺繍の模様には、一つ一つ、意味がある。
矢に当たらない模様、毒蛇や毒虫を遠ざける模様、魔除けの模様、疫病避けの模様――そして、夫婦の円満を祈願する模様。
一つ一つの模様に、ユウアムの幸せを祈るプディヤの真心と、先祖の加護が宿っている。

兄さまがお婿に行くとき、九歳だった自分は、妻となるパドゥハに、ほんの少し、嫉妬していたのだ。
<西の大屋根>のパドゥハは、子ども好きの優しい娘で、隣の<大屋根>に住むプディヤを昔からかわいがってくれていたし、プディヤもパドゥハのことが好きだったのに。
そのときは、自分の兄さまをパドゥハに取られてしまうような気がしたのだ。
大好きな兄さまが自分を置いてお婿に行ってしまうのがつまらなくて、少しだけ我儘を言ってみたかったのだ。
思い返すと、そんな自分の幼さと身勝手さが、今更ながらに恥ずかしい。
兄さまがパドゥハと夫婦になったって、自分と兄さまの<糸の兄妹>の絆は、なにひとつ変わらず続くのに。

プディヤは、出来上がった衣を丁寧に畳み、卓の上に置いた。
明日は、仲良しのダナと一緒に、山に甘葛を採りに行くのだ。それで蜜飴をこしらえて、衣と一緒に届けるのだ。兄さまとパドゥハの間に生まれた小さなリーリーのために。

ーーーーー


 < 過去  INDEX  未来 >


冬木洋子 [HOMEPAGE]