時々管理日誌
時々だけ書く管理人の日誌です。
サイト運営や創作について、日々の雑感など。

2016年03月01日(火) 覆面7 後書きテンプレ回答(前編)

長いので二回に分けます。

■作者名 冬木洋子

■サイト名&アドレス カノープス通信 http://www.geocities.jp/canopustusin/

■参加ブロック、作品番号、作品タイトル、作品アドレス
A04 A04 After Pandora -溺れゆく希望- http://hkmnsk7.tumblr.com/7index.html

■ジャンル
ボーイ・ミーツ・ガールな“雰囲気SF”
あるいは『夜の未来少年コナン』(BY盲管さん)

■あらすじ
文明崩壊後の未来、海面上昇により沈みかけている南の島で細々と生き延びて素朴な生活を送っている人々のもとに、老朽化によって崩壊した海上都市から、おそらくただ一人の生き残である少女が流れ着き、少年と出会う。

■意気込みテンプレを使用された方は、URLを教えてください。

http://www.enpitu.ne.jp/usr6/bin/day?id=64893&pg=20151205


■推理をかわすための作戦は?

ネタの時点で、隠れるのは諦めてました。
ただ、タイトル『だけ』でバレるのはさすがに避けたかったので、副題を、いつもの『〜 〜』ではなく『− −』にしてみました。
あと、今まで付けたことのない英語タイトルにしてみました。
英語タイトルは、たまたま今回は付けたかったから付けたのが主で、推理対策はおまけですが……。

あ、あと、推理期間中に火星や宇宙・科学技術系のツイートをRTしたり反応しないよう、こっそり自粛しました(笑)

■作品のネタを思いついたきっかけは?

何も思いつかなくて(というか、ネタ未満のアイディアはいくつもひねり出したけど、どれもストーリーの形をとるまで至らなくて)困っていた時に、光がつく単語をいろいろ脳内に羅列して、明るい昼間の光じゃなく闇の中の光もいいなあと思い、『夜光虫』が思い浮かんだ瞬間、「あ、この夜光虫は普通の夜光虫じゃなく、汚染された未来の海を浄化している遺伝子操作の生体浄化装置なんだな!?」と、ピンときました。

たぶん、ちょうとその時、『この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた』という本を読んでる最中だったせいだと思います。
その中で、海面上昇についても触れられていたので、舞台が沈みかけた島というのも、その影響で思いついたと思います。
意気込みテンプレの『面白かった本』のところにこの本を挙げなかったのが、『推理を交わすための作戦』のメインだったかも。
とても面白いのでオススメです! ロマンの宝庫です! →こちら

そこからは、それまでまとまらなかったのが嘘にように、一気にイメージがわいてきました。

南の島の浜辺で夜光虫を眺めて会話する誰か二人(その時点では兄弟ではなく恋人同士とかを想定)。
一見、平和でロマンチックな光景。会話の内容も、一見、普通(将来の話とか)。
でも、実はそこは未来の汚染された地球で、その夜光虫は遺伝子操作で生み出されたバイオ浄化器で、汚染された海を浄化していて、人類は滅びかけているのだ……という背景が、最後のほうで分かる。

ここまで一瞬で想像して、それから数日、あれこれ考えているうちに、いつのまにか、少年少女のお話になりました。
あと、舞台が文明崩壊後の未来の地球であることは、最後の方で分かるのではなく、最初から明かしてしまいました。

盲管さんに『夜の未来少年コナン』と評してもらいましたが、自分でも、書いた後で、そういえばちょっと『未来少年コナン』みたいだなと思いました(^^ゞ
(↑文明崩壊後の水没世界の離島で原始的な生活をしている少年のところに、科学文明の匂いのする少女が流れ着く)
『未来少年コナン』、もちろん好きですとも。

なんでネタの段階で隠れるのを諦めたかというと、『未来少年コナン』好きからも分かる通り、私は文明崩壊後SFが大好物で、常々それを公言しており、ちょうどたまたまこのネタを思いつく直前にも、ツイッターで「文明崩壊後モノが大好物!」とか「『この世界が消えたあとの〜』が面白い!」とか呟いてしまっていたからです。
ずっと前に言ったことは誰も覚えてないとしても、このタイミングはまずい、と……。
(今にして思えば、ネタを思いついた時はそれらのツイートの直後だったけど、企画の時期はまだまだ先だったんだから、その頃にはみんな忘れていたと思うけど、その時はそれに気が付かなかった)

あと、火星モノも昔から大好きで、最近も、ツイッターで『火星の人』(映画『オデッセイ』の原作)の話とか、火星移住計画についてのRTにやたら反応していたので……。
でも、さっきも書きましたが、この話を書き始めてからは、あんまり科学技術系のニュースや火星ネタに反応しないよう、心がけました。
映画『オデッセイ』の公式をRTするのも我慢しました。
『オデッセイ』公開後は、どうせみんな話題にしてるからと、私も話題にしましたが。

あと、どう考えても、自分の普段の文体で書くような話だったから、絶対そういうふうにしか書けないと思ったのもあります。


■ストーリーの構築において気を使った点、苦労した点などあれば教えて下さい。

毎回のことですが、長くならないように気をつけました。
それでも初稿を書き上げた時、8000字くらいになってしまい、苦労して削りました。
全くストーリーを変えず、シーンも減らさずに8000→6000に減らせるってことは、普段の自分の文章はよっぽど冗長散漫なんだなあと、前から分かってはいたことだけど、改めて思い知りました。


■削ったエピソードなどありましたか? 作成裏話歓迎です。

もともとほとんどストーリーがないので、エピソードまるごと削除とかはないのですが、細かい背景説明をあれこれ少しずつはしょりました。
この島は離島故に前文明時代からソーラーパネルや雨水タンク、海水浄化設備などの自立型設備が整っていたことが幸いして、かえってそこそこ文明的な暮らしを保ててこれたんだとか、それでも島の人口は今も減り続けているとか。
フロートも同様で、もともと閉じた循環型の都市だったから、外の世界より長く文明生活を保てていたのだと思います。(たぶん工場で人工照明・水耕栽培の野菜作ったりしてた)
大陸の方は、僅かに生き残った人がいるとしても、世紀末ヒャッハー弱肉強食状態になってるんじゃないかな?

あと、冒頭の浜辺のシーン、ここは岩場なんですが(この島には砂浜はほぼ残っていないので)、字数の関係であまり描写ができず、たぶん、多くの人に砂浜を想像されていたのではないかと……。
私がもっと上手ければ少ない文字数で表現出来たでしょうから、私の未熟さの結果ですが、小さな痛恨事です。

ちなみに、この島は、南太平洋のどこかにある架空の島ですが、主にモデルにしたのは、パラオ、ツバル、ミクロネシアです(なぜかというと、たまたま図書館に資料があったから)。
ノアがやたらと運動会推しな点は、パラオ由来です。(パラオの人たちは運動会が大好きらしい)
ツバルについては、海面上昇関係の本がいっぱいありました。
先進国による温暖化の被害者で悲劇の島であるとして描く本も、そんな描き方は一面的だという立場(沈んでいるのは温暖化のせいではないとか、そもそも沈んでないという説も含めて)の本も。

あと、小さな裏設定ですが、弟の名前、ノアは、ポリネシア語のNOAではなく、『ノアの大洪水』のNOAHです。
この島はキリスト教圏なので人名はキリスト教の聖人から取ることが多く、その中でも、この時代、ノアという名前が世相柄一番人気で、とても多いなんじゃないかなあ、と。


■その作品の続編または長編化のご予定は?

ないです。でも、大幅加筆の予定があります。
とにかく私の力不足で文字数が足りず(もっと上手ければ、この字数でも、もっと濃いものが書けたはず)、テスの感情面をばっさりはしょってしまったので……。
もともと第三者視点だからテスの内面には立ち入れませんが、字数が許せばもう少しじっくりテスの気持ちに寄り添って、ウィル視点でのテスの態度の変化を丁寧に描きたかったところなのです。
具体的には、ノアが走り去ってから、最後に二人で火星を見上げるまでの間に、テスとウィルの間でもっといろいろ会話があって、ラストシーンまでに二人の距離がもうちょっと縮まっている予定です。

あと、もう一つ、後で加筆する時に出来れば組み込もうとしてた設定を、組み込む前にボツにしたので、そのボツ設定を、供養のためにここで披露させてください。
感想で言及してくれた人も多かった『学校の先生』の、過去についての設定です。

実は先生は、島の外から来た人です。
先生は、もともと、大型船を連ねて海を回遊する『船団国家』にいた人で、おそらくはそれなりに指導的な立場にあったのではないでしょうか。
きっと、それなりの夢や理想もあったでしょう。
船団国家は、おそらく共産主義的なコミュニティでしょう。(条件的に他の社会形態は成り立たないと思う)
が、その船団国家が何らかの理由で崩壊するか、あるいは権力闘争に敗れるなどして、追放されるか逃げ出すかして、あてのない漂流のあげく運良く島に流れ着き、インテリを買われて先生に起用されたのです。

ウィルは、先生がある日ぽつりと呟いくのを聞いたことがあります。
「外の世界に比べると、この島は楽園なんだよ。地上に残された最後の楽園なのかもしれない……」と。

外の世界がたぶんひどいことになってる中、ここは、パンドラ直後こそ混乱の中で大勢の人が死んだし、生き残った人の命も今もゆっくりと蝕まれ続けてはいるけど、その後は、少なくなった人数でそれなりに自給自足ができ、文明は後退したけど貧しいながらも秩序のある生活が出来ていて、そのおかげで人の心も荒んでいない。
特にパンドラ後に生まれた子どもたちは、パンドラ前の文明生活を学校で教わる歴史的な知識としてしか知らず、最初から今の生活が普通だと思ってるから、不便で貧しい生活を特に不満にも思わず、無邪気に楽しい子ども時代を送っている。
そんな子どもたちの存在が、失意の末に命からがら流れ着いた先生にとっては、救いであり希望であり。
だから子どもたちに希望を説くのはある意味本心からなのですが、でも、島が沈みつつあることは知ってるし、それをどうしようもないことも分かっている。
外の世界が地獄なのは知ってるから、海への脱出に希望を見出すこともできず、ただ、遠い先のことには目をつぶって、今はここで、希望を捨てずに、出来ることをして生きるだけと思って、熱心に教育に当たっている。
それが今自分に出来る唯一のことだから。

……というわけなのですが。
なぜ、書かないうちからボツになったかというと、この『船団国家』の存在自体に無理があるような気がしてきたからです。
パンドラ前の船舶からなる巨大船団が、小舟で脱出した先生が漂着できるほど、この島の近くを通りかかったりするなら、当然、こうした島々の存在を知っているのではないでしょうか。
それで何も働きかけてこないということはないのでは?

船はいくら修理しつつ使ってても老朽化して先が知れない状況だから、土のある土地は是非とも欲しいだろうから、土地を奪いに乗り込んでくるとか(そうしたらこの島の人たちに抵抗のすべはない)。
そこまでしなくても、船上では貴重であるはずの農産物や家畜を略奪に来るとか。
そんなことをされたら、島の人は、もし殺されなくても、たちまち飢え死にします。

あるいは逆に、沈みそうな島にいる仲間に救助の手を差し伸べて仲間に入れてくれようとするかもしれません。
友好関係を築き、農作物等を買い付け(というか、文明の利器との物々交換?)にくるようになるかもしれません。
この島の人たちは他に陸地があるとしても船がないからいけないと思っていますが、船団国家と接触があったら、その前提も崩れます。

そんなわけで、船団国家の存在そのものがボツになったので、先生の過去も全ボツです(笑)


■その作品で気に入っている箇所はどこですか?

先生の演説(笑)
あと、冒頭の兄弟の会話。


後書きの後編はこちら


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