今日は仕事が早番で明るいうちに帰って来られたので、夕方、近所の公園に花見に行きました。 ちょうど夫もいたので、家族4人で。
去年の春は、義母の入院・手術などでばたばたしていて、花見に行きそこねたんです。 仕事の休みのたびに、片道一時間かかる病院まで、山を越えて車で往復する道すがら、義母が入院した時にはまだ裸木だった桜のつぼみが膨らみ、花が咲き、 (ああ、お義母さんは今年は桜を見られないのかなあ……)と思いながら通り過ぎ、次の時には花吹雪が舞ってて、その後すっかり葉桜になっても義母は意識を取り戻さず、 (とうとう見られないうちに桜が散っちゃったなあ……。来年の桜は見られるんだろうか)と、運転しながら思わずちょっと涙ぐむ……みたいな具合で、精神的にも時間的にも子供を花見に連れて行ってやるような余裕がないままに桜の季節が過ぎてしまったのでした。
(あ、ちなみに、今はもう、義母はすっかり元気です。一時は生死の境を彷徨ったとは思えない驚異の快復振りで、周りを驚かせています。で、目覚めかけの譫妄状態だった時に見たらしい『病室の壁に立てかけてある折りたたみパイプ椅子の裏にお姫様とお侍のとてもきれいな絵が描いてあって、その絵が動く』という幻覚の話を、繰り返し聞かせてくれます。お約束の『花畑』や『川の向こうで手を振る死んだ肉親』は見なかったそうですが……)
そんなわけで、息子に、来年こそは必ず花見に連れて行く(そしてその際には必ずお花見団子を食べさせる!)ということを、去年から約束してあったのでした。 だから、今年は、何が何でも子供を花見に連れて行かなければならず、一応、10日の日曜日に万難を排して(笑)休みを取って花見の予定をたてているのですが、もしその日に雨が降ったら今年も花見をしそびれるので、念のために、今日も行っておくことにしたのです。 花の咲き具合も今日が最高っぽいし、とにかく、今年は何が何でも絶対花見に行かなきゃ行けないので(笑)、念には念を入れて……。
花見と言っても、たいしたことはありません。 食事の時間じゃないので、ただ、コンビニで買った花見団子とペットボトルのお茶などを持って公園に行って、桜を見ながら食べるだけ。
桜は、思ったとおり、今日が満開で、最高の見頃のようでした。 昨日までは大風が吹いてもまだ全く花びらが散らなかったのですが、今日の午後から、急に花びらがちらほらと舞いだして、でも、まだつぼみもたくさんあって、濃いピンクの固いつぼみから薄いピンクの咲き始めの花、そして満開の白い花までのグラデーションも楽しめて。
そんな最高の一日なのに、平日の夕方遅くには、公園にはほとんど人気が無く、満開の桜の花園を一家でほとんど独り占め! 人気の無い公園は静かで(うちの子供たちが遊具で遊ぶ奇声だけが高く響く……)、翳り始めた西日の中、満開の桜の下にシートを広げて、空を埋め尽くすように咲く花を見上げて缶チューハイなど飲んでいると、花びらがはらはらと舞い落ちてきて、桜の木の下には濃いピンクの海棠の花もちらほらと咲き始めているし、コブシやモクレンも、ほとんど終わりだけどまだ咲き残っていて。ああ、いいなあ……。
満開の桜の木の下に立つと、桜の花の匂いもします。 桜って、弱いけど香りがありますよね。 一輪、二輪、一枝、二枝程度じゃ分からないけど、大量に桜が咲き誇っているところでは、けっこう匂います。 そんなにいい匂いってわけじゃなく、花粉くさいような系統の香りですが。
以前、どこかで見かけた小説の批評の中で、『作品の中で”桜の匂い”というのが出てきたが、桜には匂いは無い。その記述は間違っている』と指摘している人がいたのですが、そんなことありません。それは、指摘した人のほうが間違ってます。桜には匂いがありますよ。
たぶん、その批評をしていた人は、蓄膿症か花粉症なんですね……。 あるいは、桜と言えば写真とか切花とか遠目に見るだけで、大量の桜が爛漫と咲き誇る中に直に身を置いたことが一度も無いか、あるいは、料理やお酒や酔っ払いの体臭などが桜の匂いを凌駕するような繊細さに欠ける環境でしか桜と接したことが無いか。 いずれにしても、お気の毒に……。
あ、別に、桜の匂いに気がつかない人が気の毒だというわけじゃないんですよ。 目が良かったり悪かったりするのと同じで、鼻もよく効く人と効かない人がいるし、人によってどういう系統の匂いに敏感でどういう系統には鈍感という差もあるようだし、桜の匂いはとくにすごくいい匂いというわけじゃなく、嗅がなきゃ損というほどのものでもないので。 ただ、花粉症だったり蓄膿症だったりすることも(……するとしたら)気の毒ですが、自分が桜の匂いを嗅いだことが無いからと言って、『桜には匂いがあると言う記述は間違いだ』みたいなことを言い切ってしまうところも、ちょっと気の毒だな、と(^_^;)
ちなみに、私も花粉症ですが(花粉症歴20年超!)、花粉症になる前は桜の匂いが嗅げてたし、最近では、また、幸いなことにお医者さんでくれる薬がどんどん進化してよく効くようになったので、花粉の季節でも桜の匂いが嗅げるようになりました。
でも、鼻の症状は飲み薬でかなり予防できるんだけど、目のかゆみはどうにもこうにも……。 それは分かっていて、あえて花粉症をおして花見を決行したので、今夜はたぶん、目のかゆみに悩まされることでしょう……(T-T) せめて鼻の症状だけでも抑えるように、しっかり薬飲んで寝ようっと。
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