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on a wall
亜栗鼠
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主との出逢い 6
『出会い』・『主との出逢い1〜5』の続きです。
「少し時間が出来たけど、出て来る?」
主は、作れる限りの時間を私の為に使ってくださっていた。
当時、主の仕事はとても忙しい時期で、後に主の生活サイクルを知ったとき、どれほど私の為に時間を割いてくださっていたのかを痛感した。
前日のチャットで私の様子がおかしいと感じて、仕事の合間のほんの少しの時間に家に帰ってメッセにあがり、「今日はもう仕事で帰ることが出来ないけど、大丈夫?」と、ほんの少しお話ししてくださったこともあった。
「私のモノですからね。しっかりメンテナンスしなきゃね。それが私の役割ですから。」
そんなことを言われた気がする。
奴隷、所有物などと言うけれど、決して都合の良いように使われることは無い。
いつだって私に精神の安定をもたらすように、変化していけるように導いてくださっている。
SMってそういうものだったのか・・・
おぼろげながら、やっと少し理解しはじめた。
どれくらいの時間いられるのかもわからなかったけれど、ほんの少しでも逢える時間があるのなら傍に居たい。
私は急いで出掛ける支度をした。
今度逢える時は何か手料理を作っていこうと思っていたのに、そんな時間は無い。
こんなものじゃ失礼かな・・・と思いながらも、鍋に入っていたシチューをタッパ―に詰めた。
何度逢っても、やっぱり緊張する。
とんでもなく方向音痴なので、道を間違えずに行けるのかという心配もしなければいけない。
主の車を見付けてホッとする。
いつまで一緒にいられるのか定まらなかったので、車の中でまったりと過ごす。
私は、ただただ傍にいられれば良かった。
「しっかりと焼き付けなさい。」
私の手を取り、主の顔にあてがい、ひとつひとつ憶えさせていく。
「目、鼻、口、頬、体温、感触、匂い、声、味、いつでも鮮明に思い出せるようにしっかりと焼き付けなさい。頭に、心に。いつでも傍に私を感じられるように。」
逢う度に私の中にしっかりと主が焼き付けられていく。
「こんなもので申し訳ないんですけど・・・」
と、タッパ―に詰めたシチューを渡して帰った。
夜、メッセでお話して、思っていたより喜んでいただけたようで少し安心した。
「今度は亜栗鼠が私の為だけに作ったものが食べたいな。」
そして、
「秘密なんだけどね・・・」
と、もっと嬉しい言葉を言ってくれた。
嬉しくて嬉しくて、ドキドキウキウキしながら、何を作ろうか考えるようになった。
「秘密なんだけどね・・・」
主がそうやって話す時
それは、主従関係を壊してしまうかもしれないような言葉を発する時。
「こんなこと言うと、立場がおかしくなるから絶対に秘密なんだけどね・・・」
そう言って私にくれた言葉
「亜栗鼠が欲しい。亜栗鼠の全てが欲しい。カラダも、いやらしい言葉を吐く口も、優しさも、醜い心も全て欲しい。」
涙が出た。
本当に私の全てを受け入れてくれるんだ。
そう思うと、涙が溢れてきた。
それでもやっぱり、恋愛感情と云うものを感じることはなかった。
ふたりの間にあるのは主従関係。
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2002年09月22日(日)
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