29号の日記
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2006年01月26日(木) 租税教育用アニメビデオ

 所用があって、休みを取って税務署に行ってきた。案外あっさり終わり、帰ろうと思った時に、パンフレットが目に付いた。「租税教育用アニメビデオ」きれいな挿絵が描かれたパンフレットで、しかも、「このビデオは税務署で無料貸出をしています。」とある。面白いのかつまらないのか、少なくとも話の種にはなるだろうと思って借りてみることにする。パンフレットを持って近くの職員に言うと、総務課へと言われ、総務課で貸出簿に氏名住所を書いて貸出完了。返却期限を言われなかったんだけど、特にそういうのはないのだろうか?それに、身分証明書の提示すら求められなかった。
 借りたのは「千年の約束」「ご案内します アナザーワールドへ」という2本。それぞれ10数分という短時間の作品であるのが難点。そんな短い時間でどうやって話をまとめるのだろうと思う。
ちなみにこちらのホームページを参照。

http://www.osaka.nta.go.jp/study/8.html

 「千年の約束」は、二足歩行の猫型宇宙人が何故か、縁もゆかりもなさそうな、辺境の遅れた惑星である地球(の、それも日本)まで、わざわざお節介にも、適切な租税システムが機能しているかどうか、1000年ぶりにパトロールしに来たという設定。
 彼等猫型宇宙人が乗ってきた宇宙船が独創的なデザインで、スバラシイです。乗り物というより、まんま、招き猫の顔をした埴輪。誰が考えたのだろうか、もっと活躍して欲しいです。
 「地球か、1000年ぶりだな、懐かしいな」って、この猫、少なくとも1000年生きているのか!
 内容は、小学生向きということもあり、税金の紹介は、身の回りの、税金で建てられた施設やサービスの紹介という形で始まります。警察・学校といった施設・組織や、市役所でのカルチャースクールや高齢者福祉施設といったものは当然ながら紹介されますが、やはりタブーなのか、自衛隊は全く登場しません。
 ここまでは予想通り。少子化社会を反映して、少子高齢化に伴い予想される税収不足などにも触れているのは、時代の流れを感じさせます。最後は、「国の借金がたくさんあって問題になっているようだけど、現在の日本ではおおむね適正に租税システムが機能しているようなのでこれでさらば」とばかりに猫型宇宙人は去っていきます。やっぱり、「国の借金が700兆円もあって、毎年、利子だけで一年間の歳入に匹敵する金額が増えていて、もはやハイパーインフレでも起こらなければ返せませんというレベルになってます」という真実には、この猫型宇宙人達は触れられなかったのね、と思った。

 「ご案内します アナザーワールドへ」は、高校生向きとのこと。主人公は独り暮らしの独身男性。俺のようなもんかな。アナザーワールドとは、「税金のない世界」
 税金のない世界に住みたいと願う主人公が住む日常世界が、あることをきっかけに、ドラえもんの「もしもボックス」よろしく、「税金のない世界」に変わっていたという物語です。結構良く出来ていた。主人公がつけたテレビのクイズ番組で、「昔の日本には税金というものがありました。」と、ひとごとのように司会者が税金について紹介するという設定。結構よく出来てるなあと思った。
 税金がない→義務教育がない→金持ちしか教育を受けられないという三段論法で、街には昼間からウロウロする少年が。そしてコンビニの店員も中学生くらいの少女。ただし、この少女、割と大人っぽい感じに描かれていたので、主人公が、「学校行かなくていいの?」と彼女に質問するまで、彼女が子供だと気付かなかった。
 最後まで「もしも」の世界から主人公は帰れず、救いのない形で番組は終わる。うーん、救われない作品である。
  


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