坂東眞砂子『狗神』 角川文庫
角川でホラーで、というとまず、 「これ、映画化されたっけ?」という考えが浮かんでしまう。 そんな風に思われちゃうと、 作者も不本意だろうな、と反省しつつ読んだ。
とある山村に住む主人公の女性の一族は、 昔から「狗神つき」の家として畏れられてきた。 長い間何事もなかったこの村に、 一人の青年がやってきたことから、悲劇がはじまる。 …と、文庫裏表紙風に筋を書くとこんな感じ。
作者のお得意、伝奇ホラーというやつだが、 そこまでおどろおどろしくはなりきれず、 寧ろ主人公の悲しみが強調されている。
それにしても、オノマトペっていうのは怖さを増幅させるなあ。 以前、川上弘美の作品の感想として、 「たこを食べる時の『むつむつ』というオノマトペが怖い」と書いた。 今回「おお、怖ぇ!」と目を見張ったのが、 狗神の鳴き声、「びゃうびゃう」という擬声語である。 ひゃー、「わんわん」や「ぐるるる」じゃなくて、 「びゃうびゃう」なんてオノマトペを作っちゃったのかぁ〜、 実際の音としてイメージしやすいから、なお怖いよなー、 なんて、ちょっと感心してしまった。
|