秋も深まったスロに、 今年できたワインが出回っている。 日本で毎年騒がれている、ボージョレヌーボーというやつである。 ここで飲めるのは、もちろん地元産なので、 特に予約をする必要もなく、 そこらへんのカフェなんかで、普通に飲める。
「今年のワインの出来を見る」イコール「試飲」であるから、 店頭で立ち飲みもできるようになっており、 そういう場合には、大きなプラスチックのサーバーが登場する。 (アウトドアなんかでよく見る、青と白のアレである) 色気も何もあったものではないが、 いかにも「地元のもの!」という感じがして、ちょっとよろしい。
ワインが入れられているビンからも、 「試飲」するためのもの、地元のもの、という印象を受ける。 店に卸された商品には、ラベルは辛うじて貼られているが、 その口にはコルクではなく、王冠がかぶせられている。 おそらく買った人は、自宅に帰って、 あたかもビールを飲むがごとくに、 栓抜きでスポーンと王冠をはずし、 でっかいコップか何かにドボドボついで飲むのだろう。
フランスやイタリア、スペインなんかではどうなのか、 コージ苑は知らないが、 欧州でよく言われる「ワインは水」説が、 ちびっとだけ分った様な気になっている、今日この頃である。
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小林信彦『おかしな男 渥美清』新潮文庫 子供の頃、寅さんが怖かった。 大人は面白い面白いといって笑っていたが、 私は寅さんが怖い人に見えてしょうがなかった。 正月の映画興行で、寅さんシリーズは必ずランクインしていたが、 私にはその理由がわからなかった。 みんな、どうしてあの映画を観に行くんだろう。
…といった印象が今さら変わるわけでもないが、 この本は、渥美清と交流のあった著者の視点から、 「寅さん」ではない、役者としての渥美清を描いたフィクションである。 周辺を飾るように、当時のコメディ俳優の肖像も散りばめられており、 昭和の映画・舞台にあった、うずまくような流れを感じられる。
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