半日旅行である。
ベケ教授宅の上階に住むマリ教授が、 ちょうど日本からゲストが来るから、と誘ってくれた。 行き先はブレッドとボヒニという名の、二つの湖。
こちらの人達はドライブといっても良く歩く。 自他共に認める運動不足のコージ苑、 本日の行程についていけるか、少々心配である。
まずはブレッド湖のほとりにあるカフェで腹ごしらえ。 ここはマリ教授ご推薦の、おいしいケーキを出すお店。 満を持して出てきたそれは、 生クリームとカスタードクリームがぷるんぷるんしながら、 パイ皮に挟まれているものであった。 食べてみると、確かにおいしい。 クリームだらけのくせに、甘さはある程度控え目。 うん、ここはまた来たい。
ブレッド湖の中央には島があり、 そこには5世紀からの教会がある。 時間があれば船で渡れるということだが、 今日は強行軍なので、次回に見送る。
ボヒニ湖畔はキャンプ場になっている。 さすがは夏休み、キャンピングカー専門の展示会のごとく、 木々の間に止まっている車車車。 キャンプも近代的になったもんだよ。 コージ苑はかつて、 「蚊がいなくて電気があるキャンプならしてもいい」、 という暴言を吐き、アウトドア派の友人を呆れさせた事があったが、 この分だとそんなの簡単に出来るのかもしれない。 やばい、条件変えなきゃ連れて行かれるぜ。←根っからインドア派
ボヒニ湖に流れ込む川を辿って森の中を30分、 轟音と共に目に飛び込んできたのは、 はるか上方から落ちる水の柱だった。 滝壷はエメラルドグリーンに輝き、まことに美しい。 周りが涼しいこともあり、しばらくの間ぼーっと眺める。
とにかくこのあたり、 川だろうが湖だろうが、水質が本当にきれいなのだ。 比較的浅いところでは、 透明な水の中に泳ぐカワマスの姿を見ることができる。 それがだんだん深くなるにつれ、 瑪瑙色からエメラルドグリーンへと色が変化する。 周囲の木々の色とあいまって、世界中が緑色に染まるようだ。
しかし、人間色気よりも食い気。 シューベルトなんぞを口ずさみながら、 コージ苑一行がとった旅行最後の行動は、 「レストランでボヒニ湖産カワマスのローストを食べる」だった。 さすが、きれいな川で育った魚は美味い。
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林真理子『強運な女になる』 中公文庫 別に、今現在不幸だからとかいう理由で読んだのではない。 筆者の華やかな、少なくとも華やかに見えるライフスタイルには、 共感反発あこがれ妬みなど、それこそ様々あろうが、 「これが私だ、文句あるか」とばかりにきっぱり言いきってしまう、 そんな力がこの人にはあると思う。 だからといって、座右の書にしようというつもりもないが。
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