あえて誤解を恐れずに言えば、 古今東西悪いヤツの話を、自分と関わりの無いところで聞くのは楽しい。 いや、楽しい、というと語弊がある。 嫌悪感を持ちつつ指の隙間から見てしまう、 グログロのスプラッタを見る時の感情に、それは似ている。 某歴史クイズや某人物紹介番組でも時々特集が組まれるが、 「悪いヤツ」の中でも「悪女」というのは、どうも喜ばれるネタであるようだ。 コージ苑が思うに(思わんでも)、 悪女という言葉から、普通想起されるのは、次の2つのタイプ。 一つは、権力をフルに使って「悪い事」をした女性。 もう一つは、美貌をフルに使って「悪い事(男性限定)」をした女性。
で、この本である。
三枝和子『ギリシア神話の悪女達』集英社新書 ギリシア神話において「悪女」と呼ばれる女性達を取り上げ、 そのエピソードを紹介しつつ、考察を加える。 著者が分析する彼女らの「悪女」っぷりは、 上述のどちらのタイプに属するものでもなく、 人間社会が母系から父系へと移行してゆく際の、 女たち(旧権力)の反感と抵抗、あるいは怒りを象徴するものである。 そこに目をつけながら読んでいくと、 男性劇作家の「悪女」の取り扱い方から、様々なものが見えて面白い。
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