ずっと部屋の中にいたコージ苑を気遣って、 看護士七味屋氏が海に連れて行ってくれた。
秋にも訪れたそこは、冬の間に凍ってしまっていた。 波打ち際数メートルにわたって厚い氷がはり、上を歩くことができる。 何がどうなったか、一番手前にはミニ氷山ができている。 すごいぞ、この風景はとてもすごい気がする。 すっかり嬉しくなって、小さい氷を手にとって投げるコージ苑、 まるで猿山のサルである。
そしてそれを写真に収めていた七味屋君。 君は後で私を強請るつもりか?
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宮部みゆき『かまいたち』 初期短編集。 サスペンス仕様の時代物はどれも楽しかった。 この中の一作品をベースにしたのがこちら。
宮部みゆき『震える岩』 人に見えないものが「見える」主人公お初が出会った不思議な事件。 色合いとしては『模倣犯』よりも『龍は眠る』に近いかな。 縦糸のオカルトに対して、横糸には忠臣蔵をもってきており、 ちょうど良いリアリティが生まれていると思う。
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