起き上がってみた。 かなり回復。 リハビリだと思って、お礼がわりに掃除をしてみる。
実はコージ苑、倒れてからの2日間、七味屋氏宅にお世話になっていた。 「一人じゃつらいだろうし、大体コージ苑ちはベッドが劣悪」 という周りのありがたいお見立てをいただいたのだ。 そうなの、ベッド寝心地最悪なの…もう買い換えちゃおうかな(ぼそり)。
かくて彼はにわか看護士になった、というかさせられた。 何で自分が、という疑問は確実に彼につきまとったであろうが、 それでも「よくがんばった、感動した」程度にがんばった彼である。 彼はコージ苑のごはんも作ってくれた。 「ご飯作ってあげるんです」と言ったら、それを聞いた人全員が、 「…できるの?」と限りない不信の眼差しで見たといって憤慨していた。 自分だってお料理できますよー、と主張した後で、 「何か食べたいものありますか?」と言うので、「ズッキーニ」と答えた。 張り切って買物に行く彼を見て俄かに不安を覚えたコージ苑、 ふらふらしながらついていった。
その選択、正解。 彼はにこにこしながらキュウリを手にとった。 残念だね、似てるけどそれをカレーに入れたら多分まずいよ。
※※※※※
夜はY先生とバレエを観に行く。 前々から約束していたし、初演でバカ高いチケットが他に売れなかったのだ。 演目は「海賊」。 ストーリーというほどのものもない。 一幕。 惚れた女が町の金持ちに買われたので、海賊の首領がむかついて奪った。 二幕。 女が原因で首領とケンカをしたナンバー2が、女をさらって金持ちに売った。 三幕。 女を取り返した途端、嵐にあって皆死に、首領と女だけが辛くも生き残った。 …ということで、華やかな衣装と雰囲気を楽しんだ。 今日の「Y先生の王子様」は、海賊の首領役。要は主役ですな。 期待で胸いっぱいのY先生の前に、ひらりと登場した王子様。 …ヒゲ描いとる。 5分間というもの、コージ苑は笑いをこらえて肩を震わせ、Y先生は虚脱状態。 しかもこいつ、ひらひら踊って見るからに弱そうだ。 手下のやつらはこんな奴によくついてくるもんだ。 (だからバレエだってば)
休憩中にY先生がぽつりとつぶやいた。 「やっぱり彼は王子様じゃないとあかんわ」 うん、コージ苑もそう思う。
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