さる高名な詩人が一人、自作の詩を朗読しにやって来る。 コージ苑と同年代の日本人なら、必ず一つはこの人の詩を読んでいるはず。 だって教科書に出ているんだもの。 「あるいはネリリし、キルルし、ハララしているか」 このフレーズに聞き覚えがあるでしょう。その人です。
昔の金持ちの家だという、旧市街の瀟洒なお屋敷でそれは行われた。 出演は詩人とピアニストであるその息子、トロンボーン奏者の三人。 清々しい詩もナンセンスなものも、楽しいのも哀しいのも色々あったが、 学生たちに人気だったのは、メロディーつきの「かぼちゃ」の詩。
一昨年は女に子供をうませたりしたが、 今では女に食われてばかり。
このフレーズに彼らはいたく感激したらしい。
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さて、朗読会の後は麿君の送別会。 お客様と夕食の大使館メンツより一足お先に買物をして、 七味屋さんちで飲み始めていた。 と、部屋の主から電話がかかる。
「今終わりました。で、彼らも来るって言ってます」
おっと。 何だそれ。
どうすりゃいいんだろうとぼんやりしてしまったコージ苑を尻目に、 Y先生は落ち着き払って学生たちに召集をかける。 結果、とんでもない人数で飲み会が行われた。 本日主役であるはずの麿君は、人の群れから離れて静かに飲み食いしていた。
コージ苑は3時過ぎにドロップアウトしたが、 ほとんどの参加者は5時6時までがんばったんだそうだ。 最後まで元気だったのは、一番疲れているはずのゲストの彼ら。 そしてその後、哀れなり部屋の主は、全員を自宅までピストン輸送した由。
こんな「ちょっと考えられないこと」が起こってしまう。 これだから小さい国はおもしろい。
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