出向コージ苑

2003年03月17日(月) ここにいるうちに

3月17日 ここにいるうちに
数日前の不安をよそに、冬はここから遠ざかる気になってくれたようだ。
暖かくなると穴から出てくる虫のように、
人間も多かれ少なかれ行動的になり、そして町に活気が戻る。

コージ苑達も例外ではない。
冬の間は(仕事も含めて)極力外出したくなかったというのに、
気温の上昇と共に旅行熱もあがってくる。
ここL国は、各種ガイド等には辛うじて「欧州」に分類されてはいるが、
地図から得られる視覚的位置はむしろ「ユーラシア」。
必然的に、在留日本人の興味もそちらに向かう。
(というよりも、そっちに興味のある人間が集まっているケースが多い)
こちらにいるうちに行きたいね、という場所は例えば、

サンクトペテルブルグ
モスクワ
カリーニングラード
ミンスク
キエフ
ザグレブ
ベオグラード
プラチスラヴァ

さあ、あなたは頭の中の地図にこれらの都市を配置できるか。
(コージ苑はできません)

※※※※※

米原万里『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』
こちらも、ロシアにとりつかれた女性。
この人の体験は疑い様もなく珍しく、貴重でしかもいちいちドラマティック。
国籍も事情も三人三様の学友各々が送った半生は、
どれも(ある意味で)旧ソ連に翻弄されまくったものであったと思う。
体制の存続中も、崩壊した今も、それは頑として人々に影響している。
自分は何一つ知らない人間だけど、ここにいてそんな風に感じる。

ベルンハルト・シュリンク『朗読者』
惹句には「16歳の少年と、35歳の女性との切ない恋」とあるが、
こいつはそんな生易しいものではない。
過去の出来事(例えば戦争)を我が物のように実感するということ、
他人の心情(例えば恋人の)を真にわかろうとすること、
つまり「自分の身に置き換える」という作業がいかに困難であるか、
そして時にはいかにそれが空しい作業であるか、
作者はそれを「恋物語」にのせて訴える。


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