Y先生と共同でやっている会話の授業は、本日期末テストである。 今学期のテーマは「会話における実践的な待遇表現」。 テストはロールプレイ形式で、学生は自分に課せられたタスクを達成する。 タスクは例えば「多忙な先生に、明後日までに推薦状を書いてもらう」とか、 「視察に来た外務省の方と上手に会話をする」とか、様々なものがある。 いつも顔を合わせているコージ苑やY先生が相手では、 どうしても学生側に甘えが出てしまうということで、 大使館員で、以前大学でも日本語を教えていたAさんに会話の相手を頼む。
タスクの割り当てはくじ引きで決められ、 学生は一人づつ教室に呼ばれて、その時点で初めて自分のテーマを聞かされる。 ペーパーテストはまるっきり出来ないのに会話が恐ろしい程上手な子、 緊張のあまりタスクを達成するという義務を忘れてしまう子、 表現を丸暗記していたため、妙なときに妙なことを口ばしってしまう子と、 テストの出来は様々である。 しかし本日一番のヒットはシンディだった。 彼女のテーマは以下のとおり。 「日本人の知り合いに、DVDを買って来てくれるよう頼みましたが、 その知り合いは『お金はいらない』と言っています。 上手に対応して、お礼を言いましょう。」 まあ、ぶっちゃけて言えば「奢られた時の対応」ということである。 (そしてこのような状況は彼らにとって良くあることだ)
シンディは、1回目は「そんな、とんでもない」と断った。 よし、よく出来ました。 2回目、「でも、申し訳ないですし」と更に断った。 うんうん、しかもわざとらしくないしいい感じだぞ。 そして3回目。 Aさんが言う。「でもね、お土産のつもりで買ったんだから本当にいいのよ」 シンディ、必死に表現を思い出しながら答える。 「でも、私が頼んだんですし、お言葉に甘えて…ありがとうございます」 教師陣、声なく爆笑。 シンディ、そこは前半と後半を分けるべきなのよ…
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