月のシズク
mamico



 電波の予感

珍しく電話の多い日だった。

3月の連休に越前カニを食べに行くプランを母と相談し、
貸していたMDとCDの返却を迫る連絡をいただき(長いあいだ、ありがと)、
「今から会えますか?」と、泣き出しそうな後輩ちゃんの声に、慌てて走った。

ポケットの中で携帯がふるえるたびに、電波を感じた。
誰かが何処かで私を呼ぶ、声にならないその電波。

夕ごはんを食べて地下からあがると、留守電が数件。
最後の用件を聞くためにボタンを押すと、懐かしい友の、少しかすれた声。
「この留守電を聞いたら折り返し電話をください。何時でもいいから。」

嫌な予感が走った。
私の予感はよく当たる。

電話口に出た友の口から、同級生の死の知らせを聞いた。
わたしが、かつて、ずっと昔に、好きだったひとが死んだ。
死因など詳細は不明。喪主は兄の名前が掲載されていたという。


寡黙だった彼の、
少しはにかんだ笑顔を思い出した。
そんな、淋しい満月の夜




2002年02月27日(水)
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