月のシズク
mamico



 こっぱみじんの身体感覚

昨夜のこと
うすっぺらい甘皮に、かろうじて保護されていた私のカラダ。
細いヒビからダムが決壊するように、ついに粉々に砕け散った。
あっちに指が吹き飛び、むこうに首が転がっている。

ぽっかりと宙に浮かんだ精神は、拾い集めなきゃと逼迫しつつも
どうやら身体に指令を出せぬようだ。ふわりふわりと漂っている。
なんでこんなにバラバラになっちまったんだ、と頭を抱えようとして
頭部の場所を見失う。破片を拾いに行こうとして、踏み出す足がない。
途方に暮れる精神だけが、相変わらずふわふわ宙を漂う。

夕方、歯科医に行った後、そんな状態で六本木に出る。
フライハイトのマーラー(交響曲第一番「巨人」)を聴きに。

そしたら、砕け散った私の身体の破片が、磁石に吸い寄せられるように
ぴたっと精神の枠内に戻ってきた。ティンパニーのロールのせいかもしれない。
とびきり巧い演奏というわけじゃなかったけれど、きっと、マーラーのせいだ。
いや、マーラーのシンフォニーのおかげで、私はわたしに戻ってこられた。

ふぅ、危ないところだった、と肩をなでおろす。
よかった、今度はちゃんと、なでおろす肩もあった。




2002年02月02日(土)
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