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■ 父娘、MoMAへ行く
仕事で東京に滞在している父上をムリヤリ誘って上野の森美術館へ。
平日だというのに団体客もいて、遊園地の人気アトラクションばりの待ち時間。 入り口でのセキュリティ・チェック、館内には5メートルおきに意地悪な警備員が 眼を光らせている。なんか鉄の枠に押し込まれたような窮屈な雰囲気でがっかり。 ニューヨークのMoMAはもっとぜんぜんお気楽でイージーだった。 フラッシュなしなら写真も撮らせてもらえたし。
それは別として、本物をナマで見るのは興奮しますね。 画集や映像などとは感動が違し、意外な絵との出会いがあったります。 私は絵を見るとき、必ずその色彩に引き寄せられます。 今回の発見は、マティスの青、セザンヌのオレンジ、シャガールの赤、かな。 個人的に気に入った作品をすこし紹介。
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■ピエール・ボナール「朝食の部屋」 いちばんのお目当ての作品でした。二階に上がった展示室の一番隅にあった ボナールの絵はやはり素敵でした。手前にテーブル、正面には窓が大きく取 られた構図で、うすい水色と白のストライプのテーブルクロスの上には、 石榴のような果物、使い込んである雰囲気の食器が親密に置かれている。
窓から見える風景は、数種類の緑色の中に木々が溶け込んでいる森で、 窓の左側の壁には、影に隠れるように少女がコーヒーカップとソーサーを 手に沈黙している。まるで、私がテーブルのこちらがわで朝食を摂ってい るような気にさせる。つつがない日常をそのまま描き出すボナールの絵は、 愛さずにはいられない。
■アンリ・マティス「金魚と彫刻」 金魚というよりは、紅鮭の切り身のような朱赤の金魚が三匹、のんびり手足を 伸ばす裸の女、そして後ろにアイビーのような小ぶりのグリーンの葉が散らして ある。背景のうすい青がそれらぜんぶを自由に閉じ込めているようだ。
■マルク・シャガール「誕生日」 子供の頃、美術の教科書で見たものだった。 赤い絨毯の部屋で、花を持った黒いワンピースの女(恋人ベラ)が、首の ねじれた男(シャガール)に背後から接吻されているというあの絵だ。 子供のときは、その男の青白い顔や両腕のない肢体を不気味に思った。 なのに、なぜあんなに明るい赤やオレンジ、黄色を使っているのか不思議だった。
もしかしたら、死んだ恋人が幽霊になって彼女のお祝い駆けつけたのかもしれな い、とも思ったが、実際はシャガールからプレゼントされた花を飾る花瓶を探し ている恋人に、シャガールが思わず背後からキスをした、という かわいらしい絵だそうだ。
■ポール・セザンヌ「モンジュルーの曲がり道」 セザンヌの描く風景画は彼のきまじめさがよくうかがえる。 躊躇いのない線や筆のタッチが、見る者を心強くさせる。のぼりつめた場所 にあるオレンジ色の屋根の建物、あそこに行ってみたいと思わせられた。
■ジャクソン・ポロック「8のなかに7があった」 ずっと見つめていたのだが、「7」を見つけることができなかった敗北感のみ。。。 ボロックはタイトルのつけ方が哲学者の如し。ちなみに「速記のような人物」 という絵は、人物の観念的な図式が絵で表現されている。
■ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ「オリーブの木」 そしてゴッホ。子供の頃から彼の絵が好きだった。 ゴッホの選ぶ黄色と青の色使いが、狂気と冷静の間を行き来させる。 風景に「風」を閉じ込められる画家だ、と聴いたことがある。確かにうねる ような筆づかいは、絵に生気を与える。サックスブルーの空と群青色の山脈、 オリーブ畑に人影はないが、人間を排除しながら同時に受け入れる場所にも思える。
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ちなみに私の台所には、むかしMoMAで購入したゴッホの"The Starry Night" (星月夜)のポスターが今も変わらず貼られている。 ここにも夜の風が閉じ込められていた。
2002年01月24日(木)
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