月のシズク
mamico



 第九番交響曲

お恥ずかしいながら、生まれて初めてのナマ第九を聴いてまいりました。
大学の先輩(現在、桐朋のCbディプロマ在籍)が東京フィルのエキストラで
初仕事なさるというので、いそいそと出掛ける。
おまけに業界に強靱なコネを持つ友が、サントリーホールのそれはそれは
よろしい席を確保してくれた。持つべきものは顔のひろい友なり。

クリスマスの夜というお日柄のせいか、会場はぎっちりの満席。
つめかけたお客さんの高揚した空気が、会場の雰囲気をさらに
華やかにしていました。

そして本番。
若手指揮者、阪 哲朗氏のはつらつとした指揮がぐいぐいとオーケストラを盛り
上げてゆく。後ろから彼の姿を見ていて、指揮のビートとは身体表現であること
を再確認する。柔軟な膝、指先の繊細な動き、しなやかな背中の反り返り。
彼の動きに従って、オーケストラの音色が変化するさまは本当に興味深かった。

そして問答無用の迫力を見せつけてくれた、東京オペラシンガーズの合唱。
後で聞いた内情によると、当日の「合唱の方は好きなように並んでください」
という指揮者の発案により、合唱団は男女入り乱れてごま塩+でこぼこ状態に
整列。実はこれって難しいことなんです。だって違うパートの人がバラバラに
配置しているということは、自分の出す音のピッチを完璧に歌えなければなら
ない。その自信と結果の両方を持っていなければとても危険なので、こんな
配置はできません。ほんと、すっごい。

(これも指揮者の意向だったらしい)ハイスピードの四楽章が始まり、
おなじみの第九のテーマが演奏され、ソリストに続き、すくっと合唱団が
立ち上がってパーンと歌い始める。まるで右手の拳を高く突き上げるような
パワーのある肉声。その迫力に観客は圧倒され、さらに音楽は高みを増し、
ホールの天井を突き破るかと思いましたよ、私は。

もう、合唱の歌詞やその内容なんか完全に抜け落ちてしまって、ただただその
音声に魂を持っていかれました。人間ってすごいですね。すくっと立って声を
出すだけで、立派な音楽を奏でる楽器にもなれる。ほんとにすごい。
感動しました(最近よく感動するなぁ)。

私の初第九体験、大成功です。
これからは「年末?だいくぅ??」なんて醒めた考えはやめて、
恒例行事にでもしたい気分。すごいよな、ベートーベン。
やっぱアンタはすごいです。






2001年12月25日(火)
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