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2003年08月05日(火)   くらのかみ Zashikiwarashi/小野不由美

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「四人ゲーム」。まっくらな部屋の四隅に四人の人間が立ち、肩を順番に叩きながら部屋をぐるぐる回るゲームだ。とうぜん四人では成立しないはずのゲームを始めたところ、忽然と五人目が出現した! でもみんな最初からいたとしか思えない顔ぶればかり。――行者に祟られ座敷童子に守られているという古い豪壮な屋敷に、後継者選びのため親族一同が呼び集められたのだが、跡継ぎの資格をもつ者の食事にのみ毒が入れられる事件や、さまざまな怪異が続出。謎を解くべく急遽、少年探偵団が結成された。もちろんメンバーの中には座敷童子も紛れこんでいるのだが…。(箱裏より)
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久しぶりの小野先生の新刊。もう2ヶ月も前から予約しちゃってました。
この本、講談社ミステリーランドっていう新しい講談社のシリーズ。テーマは「かつて子どもだったあなたと少年少女のための“ミステリーランド”」。
なので、フォントも大きいし、漢字に読み仮名ふってあるし、文章は易しいし、挿絵あるしで、かなり子ども向けな印象です。なのに、執筆陣は大人向けミステリーを書かれるかなり豪華な方々。子ども向けにしては、ちょっとお値段も立派だし、装丁も子どもにはもったいない立派さ。
「かつて子どもだった」大人を強烈に意識してるかんじのシリーズですね。
ちなみに、今回がシリーズ第一回の配本。お金さえ続けば、全部買いたいくらい惹かれています。
さて、内容ですが…、さすが小野主上!
子ども向けの易しい文章で、あの屍鬼を書いた方とは一見思えないのですが、読んでみて「ああ。小野先生だ」と感じました。
読み終わって改めて気づく伏線の多さ、心理描写の巧さ、そして子ども向けと侮れないホラー&ミステリ色の濃さ。さすがです。これを読んで、少年少女(小学校中・高学年?)はどう感じるんでしょう。
私的には、三郎にいの大人な部分と子どもの部分がとっても気に入りましたけどね。(だけじゃないですが…)



「富は、よいことを与えてくれるし、悪いことを呼び寄せもする。気をつけていないと呑みこまれてしまう。得体がしれなくて、油断のならないお化けみたいなものだ。」


小野不由美:くらのかみ Zashikiwarashi,p.311-312,講談社.






ゆそか