A Will
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2013年08月12日(月)




わたしの知らない彼がいて、
入り込む余地がないことを悟る。


薄すら寒い寂しさの中で、
彼と目が合い、わたしは手を振った。

笑顔で手を上げた彼を、
やっぱり知らない人だと思った。




入り込んだらいけない。

たぶん、触れることさえナシだ。



だから、手を振ったのだ。

確かに距離があることを、
手を伸ばしても届かないと、
あちらと、こちらに、わたしたちはいると、

確認のために。



日が沈んでも、汗が滴るような熱気の中で、
この暑さに乗りきれない。

浴衣を着た可愛い女の子の集団が、
口を赤く染めて、りんご飴を頬張っていた。

豪奢とは言えないけど、立派である神輿が、
怒声とも歓声ともつかない音の中で、跳ねる。




神さま。

心の中で、呟く。



冷めない熱気を後に、わたしは電車に乗った。


覗き見をしたような後ろめたさだ、と
なんだか可笑しくなる。



たまたま、出会う。なんて、
運命的でないとするなら、それは悲劇的だ。


頭の中の、笑顔で手を上げた彼を、
どうにか振り払う。

幻だ。
夏が、暑さが、見せた幻だきっと。



頭が痛いのは、昨日、1本空にしたシャブリのせいだ。


相変わらず、よく飲むな、と笑ったのは、
久々に会った友人だ。

ワインなんか飲めるようになったのは、
結構、最近だ。
一人で空
けたのは昨日が初めてだ。


電話を片手に持つ。

もうシャブリには頼れないから、
頼りがいのある友人にアルコール代わりになってもらおう。



大丈夫。

わたしは、昔から1度だって二日酔いにはなったことがないんだ。


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