A Will
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2006年04月25日(火) 思い出。

ひんやりした手を、ほっぺたに。

押し当てられた真っ暗な夕方。



帰りたくない、と何度も心の中で思った。
きっと、あの人だって思ったに決まってる。

帰りたくない子供は、帰りたくない子供を見つけるのが得意だから。




手を繋ぐ。とても自然すぎて笑えた。

笑ったら「なに」と完結した口調で聞かれた。
それですぐに「笑ったのなんで?」と今度こそ疑問口調で聞かれた。



「雪、降りそうだね。降るかな」って言ったら、
まじめな顔して「どうかな」って言ってた。真剣な横顔が珍しかったのを覚えてる。

握った手を、当たり前に握り返してくれて、
ほどけて、それでまた絡まるみたいに、何度も握った。



「寒いの好き?」って聞かれたから頷いた。
「暑いのよりは好き」って言ったら「俺も」って言ったの。





覚えてる。本当に、覚えてるの。

わたし言ったの。いつもなら言わないのに。言ったの。
「帰りたくないなぁ」って。明るく。元気に。



あの人の足が止まる。
じっと見られた。暗くてどんな顔なのか良くわかんない。
不安になった。

なんとなく、その言葉がタブーなのは知ってたから。




がくんと、腕引っ張られて。
走った。走って走って走って、疲れて止まって。

あの人言ったんだ。「ごめん」って。やさしく。


乱れた白い息さえ好きだと思った。
泣きたかった。上手に涙が出なかった。ただ声だけ潤んだ。
「大丈夫」

痛い、と思った。

どこが、なのかはよくわからない。


痛かった。多分、全身。
どこもかしこも。






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けれど、あたたかかったの。とても。すごく。


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