迷走よろずごと
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私のセクションの仕事は端末操作・外部との交渉・きっちりと時間に合わせた指示が要求されるなかなか一癖も二癖もあるところだ。 端末操作ができなければはっきり行って仕事にならない。 アシスタントには、仕事の覚えも早く、有能なS嬢(派遣さん)がいる。
私が休暇に入るにあたり、後任の担当者を上司から伝えられた。 その名を聞いて愕然とした。 定年まで後いくばくもないTジジイ。こいつは実に使えない。受付業務をしていた頃には正門の門柱をどこぞの納入業者に大破されるも持ち場を離れてネットでゴルフのアプローチ研究していたために現場を押さえることができずにまんまと逃げられたり、依頼事項も聞いていないから俺知らねーとほざく無能野郎だからだ。
私が戻るまでの間だけだから・・・おいっ、こいつがやった後のこの職場に戻るのかよ。冗談じゃないぜ。
一時しのぎでなんとかお願いしたい・・・ムリムリ。一時しのぎでできる仕事はうちの部署には何もないですから。
後任の話は職場中を駆け巡り、他の部署のさまざまな人から声をかけられた。みんなわかっているのだ。彼が無能だと。
ジジイが来た初日。大まかな仕事の流れを説明した。 ヤツの顔色がみるみる変わった。今までヤツがやってきた仕事量の100倍はあるだろうからだ。 開口一番「安請負しただけなんだ。こんなこと聞いていない」 「部長から聞いていないんですか?私に言われても困ります。引き受けた以上は責任を持ってください。」 「・・・。」
それからジジイへの引継ぎが始まった。 まず、端末操作が全くできない。この職場にそれはないだろう。オペレーション以前にかな・カナ・英数の入力方法からの説明。これには閉口だ。 説明の合間にすぐに休憩に行ってしまい、行ったきりなかなか戻ってこない。 それぞれのマニュアルがあり、それに準じて説明をしていく。同じことを複数回反復して説明しているが、まずメモも取ろうとはしない。疑問点がわからないから何度も同じ間違いをし、S嬢に一から説明を受ける。が、説明を受けたことすら覚えておらず、「え?そうだっけ?」や「聞いていないから解らない」を連発する。 引継ぎの最終日が決まっているため、スケジュールは外せない。
が、しかーし。 許せない事件が起こった。 いつものごとく、ぬけぬけ漏れ漏れの結果のダメ出しをしたとき、 「1回の説明だけじゃわからねぇよ。もっと優しく親切丁寧に教えてくれなきゃできねぇよ。俺だって一生懸命やってんだ。」やってねーだろ 「はぁ???????何度も説明してますよ。」 「1回しか聞いてねぇよ。説明を受けていないものもある。」貴様が覚えていないだけだ 「説明の時にはメモくらい取るようにしてください」 「最大限努力して取ってるよ。」努力って何を持ってやったという ショーケンみたいにイッっちゃってる目で。 これでは何を言っても埒が明かないと判断し、 「はいはい、じゃあ何度も何度も覚えるまで反復して練習しましょう。」 凍りつく部長と周囲の社員たち。 8割睡眠野郎や労災目当て男、勘違いバカ姉ちゃんなど気違い多頭飼いをしているわが社では、新たな気違いが発生したのかと戦慄を覚える。 ジジイが食事に出掛けた後、凍りついたままの部長に呼ばれた。 「ごめん、彼今までと全く異なった仕事と環境になってパニックを起こしているんだ。ほとんどやったことのないなれない端末操作とかで、混乱しているみたいでさ。ストレスになってるようなんだ。申し訳ないけどもう少し教育のスピードを緩めてやって欲しい。・・・中略・・・」あたしとS嬢のほうがヘビーストレスだよ。 「はあ、おっしゃることはよく解りますけどね、このセクションには不向きと申し上げたはずです。・・・中略・・・」 「端末操作やメインの作業はS嬢にお願いできないかな。」 派遣のS嬢がメインで社員のジジイがサブかよ。 「彼女はほとんど対応可能です。が、社員しか触れられないところはどうするんですか。」 「・・・。」 しかし、どうやらメインの作業は彼女にお鉢が回ってきそうだ。彼女の能力は非常に高いが対価以上の激務をさせてしまうと思うと非常に申し訳ない気持ちでいっぱいだ。 ジジイはその場所にただいるだけ。給料泥棒がまた一人目の前に出現した瞬間だった。 と同時に私の今までの仕事が全て否定された気がした、許せなくて悔しくて悲しい絶望感に満ちた瞬間だった。
そしてこの怒りの感情はお腹に直通。張りが収まらず歩行が非常に難儀だ。 ごめん、こんな嫌な気持ちを共有させちゃって。
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