断罪の時間 〜Dance!な日常〜

2017年06月12日(月) 「感染スパイラル」

『HOKURIKU DANCE FESTIVAL II』
 2017年 6月10日(1)15:00〜(2)18:00〜
 6月11日(3)14:00〜(4)17:00〜
 会場:金沢21世紀美術館 シアター21
 入場料 各回 1,000円 通し券 3,000円


つづきです
つぎはこちら!

 「感染スパイラル」 佐成哲夫
  小菅紘史×伊吹卓光×佐成哲夫
 先が見えているのに、そこから前に踏み出せない
 その境界は自分自身の心が生み出したものなのか
 無意識のうちに他人や社会に影響され引きずられ
 てしまっているのか?
 気づいた時には、自分は見えない柵に囲まれて
 生きているのだ。牧場にいる牛のように。

 飛び越えたい衝動と踏み出せない思いに揺れる。
 病的な3人の病的なダンス。


客席に手が届きそうなところに男二人が現れる。
直立不動から突如客席に向かってジャンケンを始め
ました。しかもあっち向いてホイです。
「ジャンケンぽん!あっち向いてホイ!!」
繰り返します。特に相手は決まってません。
「ジャンケンぽん!あっち向いてホイ!!」
繰り返すにしたがってスピードが増します。
「ジャンケンぽん!あっち向いてホイ!!
 ジャンケンぽん!あっち向いてホイ!!
 ジャンケンぽん!あっち向いてホイ!!
 ジャンケンぽん!あっち向いてホイ!!
 ジャンケンぽん!あっち向いてホイ!!」
そのうち度を超えます。
「ジャンケ、あっちホイ!ジャン、ホイ!」
もう何を言ってるのかわからなくなりました。
そして訪れる衝撃の終焉。
「ホイ!ホイ!ホイ!ホイ!ホイ!ホイ!」
方向を示す指も高速すぎてもはや見えません。
息が切れるまで突き抜けた二人
酸欠で真っ赤になりながらその場にぶっ倒れました
その木っ端微塵なはじまりに客席の子供たちは
堪えられず吹き出していました
倒れた二人はどう見ても役者です
しかし、わかるのは“突き抜けてる役者”です
わたしは思いました

 とんでもない奴らだ

現れる佐成氏。
佐成氏は震えるダンスを展開しました。
その震えるダンスは度を超えています。
あの時見た東京のAbeMARIAさんくらいの威力。
あれほどまで全身をめちゃくちゃに踊らせながら、
野原を全力ダッシュした人をわたしは知りません。
わたしは自分にもできるだろうとそのダンスを後で
試してみましたが、できませんでした。
打ち上げで佐成氏に直接聞かされたのはヘルニアを
患うほどのダンスです
佐成氏は全身を震わせながら時折、、
むちゃくちゃカッコイイポーズで静止☆
これが、、ほんとうに格好いいのだw
そのうちに最初の二人が再度現れました。
今度の二人はストッキングの片足と片足に
それぞれの頭を突っ込んだ、
前が見えそうもない姿でした―
とはいえ、たぶん見えてるだろう二人は
佐成氏にまとわりつきます。
佐成氏は二人を振りほどいて、
その状況を後方から冷静に見ていた。
どうにもならないダンス?を踊っていた?二人。。
佐成氏がついに動きます!
上手に歩き出すとおもむろに現れる舞台監督!
リアル舞台監督が佐成氏に渡したのは―ハサミ?!
佐成氏は繋がれているストッキングのど真ん中を
ハサミで一息に断ちました
突然自由になる二人。。
愉快なように見えてその実は、、
意外にもわたしたち全員に当てはまります。
バカバカしい何かにわたしたちも囚われているか
もしれないからです。
裁ちバサミでちょっと切ってしまえば、、
突然自由になるくらいのやつ!
客席に笑いが巻き起こる中でわたしは思いました。

「これは俺もやりたい!!」(爆)

人にどう受け取られるかわからない世界です
しかし、感染スパイラルはどう見ても巧妙でした
遊びのように見える表面とは裏腹に、、
みんなにあてはまる真実が散りばめられています
それを言葉のない演劇仕立てのような
ダンスを展開させていました

次は椅子に座った女装した役者がその足元にうつ伏
せで突っ伏している男を両足で踏みつけながらごろ
ごろ転がしているダンスです。
ここで女装した役者がいきなり。
いきなり大声で、本気で、セリフをぶちまけます
「私にどうしてほしかったって言うの??
 私は、、私よ!!!」
そんな風な台詞をずっと回していました
「私は、、私よ!!!」
その台詞は苦しくも響きました。
そんなダンスでした。
突拍子もないシーンが常に始まる中、
これが成立しているのはこの二人の役者の実力に
寄っていると思います。
そのうちにセンターをゆっくり佐成氏が
やってきます
いつの間にか二人は上手と下手に
センターに向かって椅子に座っていました
センターでダンスを展開する佐成氏。
そのうち左右の二人がそれを見て嘲笑しだします
佐成氏はその笑い声に次第に動けなって…
いつ思い返してもここが巧妙で
左右の二人のその笑い声がいつの間にか
《度を超えているのです》
ここで不思議なことが起きました
二人はその場面からして、
佐成氏のことを嘲笑っているはずなのに
そのままずっとずっと笑い続けていくうちに
その笑いが笑いに聞こえず

苦痛にしか見えないところまで突き抜けた

「感染スパイラル」はわたしたちが思っていても
見たことがないさまを示していた
本気で行き過ぎると、
本当に度を超えるとどう見えるのか、
そんなもの見たことがない
このことは想像力が掻き立てられました
イジメにも繋がるような
人をバカにするってこと
その先はもしかしたら
こういうことなのかもしれません
いつか自分自身に返ってくるのかもしれない
この作品は鋭いところを刺しています
この作品もその世界の中で、間違いなく
《カラダが変容していくさま》でした
黒沢美香さんがこう言っていたのを思い出します
「カラダが変容していく様相は
 ダンスとしか言いようがない」
何かを本気でやっていく、やりつづけていくと
カラダがいつの間にか変質変容していきます
見ているわたしたちは、、
そのさまに何も感じないわけにいかないのです!!

さあラストです
笑い声の中、佐成氏はド真ん中でうずくまりました
どん底のようなうずくまりでした
しかしその中でゆっくり立ち上がります
そして一度まっすぐ客席を見て叫んだ

「うわあああああああああああああああああああ」

その本気の叫び声にわたしは涙が落ちました
この叫び声は《勇気》だと感じました
他人の笑い声を払いのける強さ
自分自身を奮い立たせる声だと感じました
決して押しつぶされる声じゃあなかった
これだ!そう思いました
感染スパイラルはその声で暗転。終わりです

これをダンスと受け止めるのに抵抗がある人も
おりましょう
ですが《何かを伝えたい》という面で考えたら
わたしはダンスが全てではない
そう感じています
ダンスが一体なんぼのもんじゃい!!
ある意味で、これは真実のひとつです
ダンスだけに ダンスという言葉に
とらわれることなんて何ひとつない
たいせつなものを顕現できるのなら、そして
たいせつなものを共有してもらえる可能性が
あるのなら、、
使えるものならどんなものだって使っていい
そうわたしは感じています
いつもすぐ隣にあるこの言葉
「こんなのダンスじゃない」
だとしてもそれ自体に何の意味があるのか
そんなものを飛び越えていけるのが舞台です
ダンスなんてものでは量れない何か
わたしたちが生きていること
生きようとしていること

支離滅裂な世界に見えようとも
この作品には揺るがない土台を感じました

だって勇気が湧いてくるんです☆

◎見ることができて本当に良かった◎


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Taisuke [HOMEPAGE]