断罪の時間 〜Dance!な日常〜

2013年04月26日(金) 「リンカーン」

第85回アカデミー賞 主演男優賞受賞 ダニエル・デイ=ルイス
史上“もっとも愛されたリーダー”の知られざる物語。
国を二分する激しい争いの中で情熱的な理想と冷静な知略を持つリーダーが
行った、世界の未来を変える決断とは―

 『リンカーン』   S.スピルバーグ
 世界を変えた、夢がある。

人民の、人民による、人民のための政治  その人です☆
世界を変えた“28日間”の物語。
 「government of the people, by the people, for the people」
物語は有名なゲティスバーグ演説が既に終わってるところから始まります。
ってマジで―?? この映画で最初に驚いたところですw
既に皆が「人民の、人民による、人民のための政治」を知っているのだ!
そう、この物語の焦点はそこじゃあなかった―


 すべてを焼き尽くす砲弾の嵐だ
 南軍が降伏するまで戦争は終わらない

混迷する時代、夢に向かってすすむ本当のリーダー。

 エイブラハム・リンカーンは人間の平等のため、皆の賛同を求めてる
 議会で決めることではない! 不平等も神が創られた!!

紛糾する下院議会。

 今 束縛されし者だけでなく生まれくる世代のためにも
 すべての命は“自由”であるべきだ

 奴隷解放を諦めれば戦争は終わるのです!

真に奴隷解放を実現するためにリンカーンはある決断を下します。
それは戦争を“長引かせる”ものでした…

 すべての人に“真の自由”を

憲法修正案を可決させるための裏工作。

 我が党が すべて賛同しても20票も足りません!
 たった20か…
 命がけの戦いになる すべてを失うぞ!
 奴隷制度は、やめさせる
 悲惨な戦いの中で、どれだけの若者の命が犠牲になるのだ?
 あの子まで戦争で奪われたら あなたを許せなくなってしまう
 私の許可がなければ入隊は出来ないぞ!
 僕は闘う! あなたの息子であることを一生 後悔したくない
 この戦いに負ければ自由は永遠に奪われる この法案が未来を守るのだ!!
 あと2票か… 何としても獲得しろ!
 どうやって?
 私はアメリカ合衆国大統領だぞ 絶大な権力を手にしているのだ
 わたしは人民の未来を託されている 決してあきらめない

 すべての血と涙はこのために流された!
 決断の時は今、今、今なのだ!!!

 憎しみを捨てる― 勇気を持とう

ちくしょー 今トレーラー見ても泣きそうになる!!!
“奴隷がいるのがあたりまえ”だった時代です。
誰も奴隷が解放されたあとのビジョンがない時代なんです。
でも、ビジョンがないからといって開放しないんじゃおかしいですよね。
まずは間違いを正すことが先です!
映画で目の当たりにするのは“あたりまえ”を葬ることが如何に難しいか。
その始まりが、戦争に勝つための作戦・手段だったとしても。

◎それまでの“意識”を大きく修正する話です◎


 この戦争で― あなたがどれほど自分を犠牲にしたか
 後世の人々は驚くわね 驚くべきよ

スピルバーグ(監督)
リンカーンは優秀な大統領だ
この作品では、彼の政治的な手腕に焦点を当てた
彼は、常に歩み寄る姿勢を忘れなかった 民主主義を重要視してたからだ
民衆の声に耳を傾ける指導者だからこそ、改革を成し遂げられた
南北戦争の最後の4ヶ月に、奴隷解放や戦争終結の偉業が凝縮されてる
そこに焦点を絞って製作した
さらに内面的な部分にも注目して彼の複雑な状況をしっかりと描くよう努めた
下院での憲法修正の場面がその一例だ

 神が等しく創らぬ人間を議会が平等とは認めない!

 奴隷制廃止の憲法修正案を可決させるつもり?
 あなたは人に愛されてる 無駄な力を注がないで

ドリス・K・グッドウィン(「リンカーン」著者)
戦争終結までの最後の4ヶ月には、すべてが凝縮されているだけでなく―
憲法修正第13条の可決が含まれてる それは彼にとって重荷でもあるわ
可決されれば戦争が長引くかも
長期的には正しくても― その間に出る犠牲は彼の責任になる

 和平を結ばねば大勢の若者が命を落とす

彼は戦争文書として奴隷解放宣言に署名した そうすることで―
南軍に奴隷たちを利用させないようにした 戦争の道具としてね

トミー・リー・ジョーンズ(タデウス・スティーブンス下院議員役)
(憲法改正、影の主役です! 缶コーヒーの某CMのあの人ですよ!!)
(まさかあんな重要な役やってるなんて知らなかったよ!!)
(その理念を変えたあの発言には感動してしまいました!!)
奴隷解放宣言はまだ不安定だった 法的な意味でも
多くの犠牲があって憲法修正は実現した

スピルバーグ(監督)
戦争が終結しても奴隷は解放されない それで憲法の修正が必要だと考えた
多くの人が奴隷解放宣言を― リンカーンの偉業だと思ってる
でも、修正こそが歴史的に重要なんだ 奴隷を永久に解放したんだからね

 奴隷制という病を根絶させてから戦争を終わらせる
 修正案こそ“治療薬”だ!!

この作品では数々の策略が描かれてる 歴史の裏で行われたことだ
そういう知略や妥協やかけ引きは すべて―
重要な憲法修正を実現するためだった
彼の長期的な視点は、誰もが持てるわけじゃない
目的は手段を正当化する

 2票手に入れるのだ
 下院議員は安い 数千ドルで買えるぞ
 金で票は買えない
 自分の心に問え

リンカーンは行きすぎたのか? 政治にはあいまいな部分がある
彼は前例のない方法で権力を行使し、時には法律を踏み越えることもあった
彼の行為には議論の余地がある
でもおそらく― 歴史は彼に軍配を上げるだろう

 今 奴隷でいる数百万人の運命だけではない
 将来 生まれてくる無数の人々もだ

彼が問題を解決する過程を見てみると―
驚くほどの圧倒的な統率力や、人々に対する理解がうかがえる
彼のさまざまな言動を通じてね


不本意ではありましたが、ここまではおおよそ引用です。
とにかく興味をもってくれないと感想を書くには安すぎる!!(爆
この映画の外観を例えるなら―

 “事件は会議室でおこっており、現場では激戦がつづいている”

某刑事ドラマとは真逆の展開ですねw
実は、この映画のほとんどが“話し合い”で“論議”の映画なんです。
議員の一言一句にあげあしを取られるどろっどろな政治の世界。
そういうわけで、楽しい映画とは言いにくい。
むしろ頭を使わなきゃ、てんで退屈な映画とも言えちゃいそうです。
下院議員で法案を成立させるところでは間抜けな議員が登場しましたが、
この映画じゃどんなに間抜けでも“わらえません”w
映画の主題自体が誠実で偉大すぎて笑えるものじゃないのだ!!
つまり、凄い映画だったんです
何が凄いかって、その内容が凄いんですよ
単に戦争を終わらせるのではなく、戦争をどう終わらせるか、の話です。
〜さぁ心に残った台詞のコーナーです〜

 「“調和”と“公平” それが正義だ 」

映画の中盤、リンカーンの台詞です! 唸りましたね…
ちょうど先月見た『PSYCHO-PASS』のテーマが正義だったばかり!!
リンカーンの言葉は“バランス”が“正義”でした―

そのラストに泣いてました わからないけど泣いていたんです
その気持ちは悲しいとか、感動したとかじゃなかった

 こんな人物が“いた”んだなぁと心深くおもったのです

じーんと、しみじみと、“いた”ことに凄いと感じました
こんな映画は初めてです
わたしたちはどれだけ今を利害関係で生きているんでしょうね…
目の前のことだけを考えては、未来を間違うかもしれない
未来からの今と、今だけの今では見方はまるで違ってきます
“よりよい未来のために、耐え忍ばなければならない時がある”
それは、未来から見て“今”の選択です
その上で、今“そのときにやっておかなければならないこともある”
これはわたしたちにも十分あてはまります!!

 錆びついた人々の心のコンパスを示した
 未来の、あるべき方向に

そんなことを本当に、現実に、やってしまった人がこの世にいたんです
今あたりまえのことが、過去ではあたりまえじゃなかった
わたしたちの世界は彼の夢の上に成り立っているといってもいいでしょう
すごいよね??


わたしはダンスを受け取ってくれるひとを、
もっともっとふやしていきたいとおもっています
見る人を楽しませるエンターテイメントのダンスなら技術かもしれません
でも“見て”楽しいダンスではない、技術ではないダンスがあります
ダンスにはもっともっと底知れない“楽しさ”がある
きっと、人間と同じくらい底が知れませんw
それを知ってもらうのはほんとうにむずかしいことで、
いくら“かんがえても”かんがえるだけではダメだといつもいきつきます
ひとりひとり、実はみんなが最初から持っているもの
大事なのは理想を掲げながらも歩み寄る姿勢なのかもしれません
そんなものが示せるように もっともっと踊っていきたいです


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