断罪の時間 〜Dance!な日常〜

2012年09月21日(金) 「勝手にふるえてろ」

江藤良香、26歳。 中学時代の同級生への片思い以外恋愛経験ナシ。
おたく期が長かったせいで現実世界にうまく順応できないヨシカだったが、
熱烈に愛してくる彼が出現!
理想と現実のはざまで揺れ動くヨシカは時に悩み、
時に暴走しながら現実の扉を開けてゆく。
妄想力爆発のキュートな恋愛小説が待望の文庫化。

 『勝手にふるえてろ』   綿矢りさ
 好きになった人と結婚したいと思いつめるあまり、
 どんどん年を取って生殖の機会を逃そうとしている。
 生殖促進効果のはずの恋が、逆に子孫繁栄を阻害している。
 私もドードーと同じく、滅びゆく種なのだろうか―

すくなくともキュートな恋愛小説ではなかろう。
この小説で活目すべきは、その冒頭だ。
物語にも入っていないのにどうやらそのすべてが冒頭に仕込まれてる。

 がむしゃらにがんばってきてふと後ろをふり返ったとしても、
 やりとげた瞬間からそれは過去になるんだから、
 ずいぶん後から自分の実績をながめ直してにやにやしても、まあ、そんなでしょ、
 べつにたいして幸せじゃないでしょ。 逆にちょっとむなしいくらい。

 だから手に入れた瞬間に、手ばなしに、強烈に喜ばなくちゃ意味がない。

 限界まで努力してやっと達成したくせに、すぐに顔をきりりとひきしめて
 “さらに上を目指します”なんて、
 言葉だけなら志の高い人って感じでかっこいいけれど、
 もっともっと進化したいなんて実はただの本能なんだから、
 本能のまま生きすぎで、野蛮です。
 足るを知れ、ってい言いたいのかって?
 ちょっと違う、足らざるを知れって言いたいの。  足りますか、足りません。
 でもいいんじゃないですか、とりあえず足元を見てください、
 あなたは満足しないかもしれないけれど、けっこう良いものが転がっていますよ。
 色あせてなんかいません、まだ十分使えます。
 ほかの誰かにとっては十分うらやましいんじゃないですか、
 そのふちが欠けたマグカップ。 水玉柄がかわいい。
 求めすぎるな、他人にも自分にも。

その文章は単刀直入で明朗会計w  なかなか唸る文章表記でした
そのゴタゴタが延々とつづくお話なので実のところ冒頭文が一番すっきりしている。
求めすぎるな冒頭文の冒頭が以下の文章だというのは結局つまるところ混沌です。

 このよくばりな人間の性が人類を進化させてきたのなら、
 やはり人である以上、生きている間はつねに欲しがるべきなのかもしれない。
 みんなの欲しがる気持ちが競争を生み、
 切磋琢磨で質の高いものが生みだされていくのですね。
 でも疲れたな。  まず首が疲れた。

欲しがることと欲しがらないこと。
行きつく先は“選択”と“バランス”です
だから、わたしはいいでもなくわるいでもなくこんな選択になりました。
※あくまでも私見です。

 とにかくヨシカが曖昧で愚図

結局はリスクをとらずに安心をとっちゃうんだから根性なしだ。
はっきりいってイライラする小説でした。
ゴタゴタゴタゴタ曖昧で中途半端がつづくのです。
自分の恋の決着は相手があることなのに自分で決着をつける。
“もういい、想っている私に美がある”などと言いだす。
それも二彼が出現してからの話であるのがあまりに陳腐すぎる。

 誰かが現れないと気づかないのか

自分を偽り続けて見ないフリをしていたツケはいつか必ずやってくるのにね。
いつまで悩んでいたって解決しないことをいつまでああだこうだやってるんだ。
自分の気持ちに正直になりさえすればおのずと答えがでるというのに。

 傷つかない人生をえらぶヨシカがまったく気に入らない

がんばることではなく、自分を納得させることを選ぶのはただの怠慢です


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Taisuke [HOMEPAGE]