こんどは山田詠美にもどってきました!
『学問』 山田詠美 大好きな仲間たちと体と心で解く、甘くよこしまな問題集―
『ぼくは勉強ができない』『放課後の音符』にならぶ長編青春小説の誕生!! 東京から引越してきた仁美、リーダーで人気者の心太、 食いしん坊な無量、眠るのが生き甲斐の千穂。 4人は友情とも恋愛ともつかない、特別な絆で結ばれていた。 一歩一歩、大人の世界に近づく彼らの毎日を彩る生と性の輝き。 そして訪れる、それぞれの人生の終わり。 高度成長期の海辺の街を舞台に4人が過ごしたかけがえのない時間を、 この上なく官能的な言葉で紡ぐ、渾身の長編。
「お前は、ヒトミっていうよりフトミだな。でぶってほどじゃあないけど、太い」
現代社会、7歳だとしてもこんなこと言ったら問題になるでしょうw ですがひとの魅力とはおそろしいものです。
「フトミとは、歩いてたら、ばったり会ったんだ。 迷子になってたから、家まで連れてってやっただよ」
仁美は、顔が赤くなるのを感じました。 フトミと呼ばれて、自分も少しだけいい気になっています。 馬鹿みたい。
いきなり心を鷲づかみされてしまったw しかし、こんなのはほんの序章にすぎません。 なんたって山田詠美なのです
時には恥をさらけ出しながらも、真摯に向かい合う儀式です。 自慰などという情けない言葉は、死んでも使いたくありません。 かと言って、男子が軽々しく使うオナニーという呼び方もどうかと想います。 だいたい、彼らは、それがドイツ語だというのを知っているのでしょうか。 素子の話によると、旧約聖書に登場するオナンという人物が語源だそうです。 そして、その人は、後に神によって殺されてしまうのだとか。 下世話な話ではしゃぐために、使う用語ではないように思えます。 それでは、彼らは、それを何と呼べば良いのか。 さあ。 やはり「しこしこ」あたりが無難なところではないでしょうか。 想像力を駆使した仁美の儀式とは大違いの即物的行為には、いかにも相応しいでしょう。
避けられません。 このあたりの文章の直線的な詰め方は群を抜いています。 凄い ところで、もちろんほんの一部分にすぎませんからやわな小説ではありません。 なんたって『学問』です。 学問。 記憶力や解法を試す机上の学問ではないんです この物語で心太の一言が意外なほど自分に突き刺さりました。
「あいつら、パーだに。でも、パーな女の子は、馬鹿可愛いだら」
これまで“パー”な女子をあまりかわいいと思っていなかった、はたと気付いた。 頭がいいのとは違って、わたしは頭の回転が速いタイプです。 すくなくとも気が回せるタイプだと言えます。 だからといって、気が回せれば優れていることにはなりません。 気が回りすぎて空回りすることだってたくさんあるからです。 大切なのはバランスだ そんなわたしは気が回る、回せるひとが好きだと思っていました。 ところがこのところ、どうも心太の発言がわかるようなのです。 個人的には認めたくないところですが、これはゆるやかな変化かもしれない。
ショックでした
こんなことがわかってしまう小説は残酷です。 でも、それこそが他人の世界を泳ぐたのしさなのです。 これだから読書はやめられない。 学問はひとつじゃない わたしたちそれぞれが追求する“学問”がある限りきっと世界は輝くのだとおもいます
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