2004年11月04日(木) 受験生

今年の中3の生徒さんは3人。
1人の女の子は音楽の方へ進みたがっているので、もちろんレッスンは増えるくらいなのだけれど、2人の男の子は難しいところ。
難しいのは、ピアノ、ということでなく、おうちの方の気持ちだ。

2人とも地域では一番の進学校(と言っても田舎なのでたいしたことはない…)志望なので、おうちの方にしたら「ピアノよりも勉強」、なのだろう。
実際、毎日塾通い。そんなに塾に通わないと受からないのかなぁ??なんて思うけれど、「みんな、そう」なんだって。

片方のお母さんとお話する機会があり、本人は「今弾いている曲が仕上がったら、次の曲は発表会の曲」と言っていた、と、すごく心配げにおっしゃっていてびっくりした。
私もそんなことは考えておらず、
「今の曲を年内にそこそこ弾けるようにしておいて、あとは(入試後の)発表会で弾けるようにキープしながら、勉強の妨げにならない程度の曲を弾いているくらいでいい、と思ってるんですけどね」
と言うと、「そうですよねー。まさか、これから新しい曲を発表会に向けて始める、なんて、受験生だもん、ありえないですよね。そうでなくたって、ピアノはこの時期お休みしてほしいくらいだし、発表会だって、でなくてもいいのに」なんておっしゃった。

まあ、そのとおりなんだけど。ちょっと傷ついたりした。
本人は、勉強をしながらも、いいバランスでピアノを弾いて、気持ちのバランスを取っているようだ。
お母さんもそれをわかっているから、ピアノを弾いていることを何も言わないでいてくれている。
でも、勉強優先だからといって、勉強以外のものを排除、という発想はね…。
詳しくお話をうかがうとそのくらい切羽詰っているようで、そう言いたくなるのも理解できたけれど、ピアノを弾く時間って、勉強ごときに排除されて、すんなり気持ちがおさまり、納得してその時間を勉強にあてがえるような時間ではないと思うのだ。
そういうのは、ピアノ弾いている人でないとわからないのかもしれないけれど。

もう1人。
やっと部活を引退し、ピアノを弾く時間が増えるかな、というところ。
こちらは逆に、これから新曲を始め、組曲なので、できたら1曲でも多く取り組みたい、と張り切っている。
ただ、当然毎晩塾なので、練習できる時間は限られるし、レッスンのあとにも塾に行くのだ!
1時間だったレッスン時間を、入試まで40分に短縮することにし、曲を2種類にしぼり、練習曲などはお休みすることにした。
こちらはお母さんの気持ちなどは聞いていないのだけれど、きっと少しほっとしていることだろう。

自分の中3の時。
音楽の方へ進む、という気持ちは定まっておらず、とりあえず進学校へ行っておけばなんとかなる、くらいの気持ちだった。
勉強もあまりせず、最後にちょっと頑張ったくらい。でも、ピアノをどうこうして勉強しなきゃ、と思ったことはなかった。
ピアノは、ご飯を食べるのと同じだったのだと思う。
3人の生徒さん達もそうなのだろう。当たり前に、生活の中にピアノがあり、どんなに忙しくてもさわってくる。

ここで頑張らないと、ランクを1つ落とすことになるかも、なんていうボーダーライン上にいたら、親は、ピアノ弾いている時間に、1つでも問題を解いて1つでも暗記してよ!と思うのかもしれない。

でも、もっと長い目で見たら、あの時、淡々とピアノを続けたことはよかった、と思ってもらえるんじゃないかなぁ。
ピアノを弾いている時間は「勉強していない時間」じゃなく、「気持ちの充電」だと思うから。

ただし、高校に合格したら言えることでは、ある。とにかく、「ピアノやめなさい!その空いた時間で勉強しなさい!」と言われないように、頑張ってくれよぅ。

…自分が親の立場に立った時、果たして同じことが言えるだろうか。数年後の日記が楽しみなような、怖いような。


 < back  INDEX  HP  next >