ヒコがやってみたいというので、壁にボコボコついてるのを登るところ（ボルダリングって言うらしい）に連れて行った。大きい壁は、命綱とか経験者と一緒とか、いろいろ制限があるので、小さい壁にチャレンジ。傾斜が違う２つの壁。ゆるやかなほうでも、けっこう難しい。私も何度かやってみたが、目も当てられない感じ。ヒコはしかし、着実に記録を更新する。途中、ちゃんとシューズを履いた上手なお兄さんがやってきて、いくつかコツを教えてくれたみたいで、ますます夢中に。そのうち傾斜のきついほうに挑戦し、そうなるとこっちが面白いに決まっていて、何度も何度もやっている。全身筋肉で身軽なヒコだから、合うだろうとは思っていたが、どうやら予想以上に好きらしい。自分なりにルートを探しているのか、真剣に壁を見つめている。１時間半、かなりくたびれて終わったが、４月の講習会にも絶対に行くと言っている。
　１回やってみただけなのではあるが、はたで見ていたかぎりでは、１０年後くらいに地球の裏側のすごい岩に登っていても違和感はない。もうしそうでなかったとしても、こうやってひとつひとつ、自分が好きなものをみつけていってくれたらいいな。
　翌朝。「予想はしとったけど…全身筋肉痛。でも来週にでも連れて行って」だそうだ。

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