前に住んでいたとこの近く、道路沿いの墓場の塀の一角が、小さな花壇みたいになっていて、小さくもなく大きくもない端正なドラセナが植わっていた。住んでたころはしょっちゅう通っていたのだが、一度だけ、おばあさんがそのドラセナを真剣に整えていたのをみかけたことがある。パチン、とハサミを入れては、ちょっと身を引いて眺め、またパチン、と。 引っ越してからも、月に2〜3度通るたび、ドラセナを見るのを楽しみにしていた。いつも、ずっと端正だった。でもある日、ドラセナがどこだかわからなかった。まさか枯れてしまった?と思って探すと、草に埋もれていた。 あのおばあさん、どうしているだろう。こんど草取りだけでもしておこうかな。