ぴんよろ日記
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2014年10月10日(金) 慶賀さんのブーケ

 野母崎の観音寺の、川原慶賀さん作のものも混じっている天井絵。観音堂が改修工事をするので、いま、ぜんぶ外されている。それを一枚一枚調査する現場に、縁あってお邪魔させてもらった。これまで落款があるものは慶賀さんだとされていたが、今回あらためて見ると、ほとんどが慶賀さんと推測されるとのこと。次から次に、いろんな草花が現れてくるのだが、その面白さには目をみはった。
 ご禁制の絵図を描いた罪での「長崎払い」の身で野母崎のお寺にやってきて、師匠が頼まれた天井絵を描く毎日。天井絵は、観音さまに捧げる「お花」でもあるけれど、慶賀にとってはかつてシーボルトから注文されて、その才能をいかんなく発揮した「植物画」でもあったろう。板に描かれた絵を見ていると「楽しくってしかたない」気持ちが伝わってくるような気がしてならなかった。
 描かれている草花の大半は、そのへんに生えていそうな山野草なのだが、その描きかたがなんとも面白いのだ。1種類だけというのはあまりなくて、ほとんどが2〜3種類の取り合わせ。一見、1種類かと思いきや、似たよなうな、でも違う種類の草が添えてあったりして、調査中も「はい、またまた三種盛り〜」などの声が上がった。なんてことない、いわゆる「雑草」とくくられてしまいがちな草が、まるでブーケをアレンジしているかのように、立派な「グリーン」として描き分けられている。一目で美しかったり可愛らしかったりする花もそこそこに、葉っぱたちの表情がじつに豊かだった。
 もうひとつ目を引いたのは、トゲトゲ。これまたいろんな種類のつるバラをはじめ、ブーゲンみたいな葉っぱのものなど、トゲトゲのバラエティもなかなかのものだった。
 葉っぱとトゲトゲが、たぶん、好きな慶賀さん。ますます好きになってしまった…。


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