ぴんよろ日記
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2013年03月19日(火) 戻ったが戻れない。

 沖縄から戻った。土曜日から昨日まで。2日晴れて、3日目は嵐。朝の嵐が夜だったら、飛行機はどうなっていただろうというくらいのものだったが、沖縄の人にとっては、あれくらいなんてことないものなのだろうか。
 沖縄は相変わらず、どんなに立派だったりしゃれた建物が続いていても、やがていつかは、昼間でも引きずり込まれそうな大小の緑の茂みがあって、さらにその何割かに大きな墓があって、どうしても人間の好き勝手にできる土地ではない。地球の体のツボみたいな島。だから、縁あって住んでる人は、よほどタフか疲れているかどっちかかもしれないと思う。輪廻転生がもしあるとすれば、この人生は沖縄に来るために来た、というような感じ。ミサキンが、去年に引き続き熱が出たりしてなぜか調子が悪かった、ということも、そういうことがあるのでは…と思わせた。
 そんなミサキン、土曜の夜の国際通りを歩いていたら、キラキラしたお土産物屋さんのあいだに時々口を開けている路地が気になるようで、立ち止まってじーっと見ている。私もどちらかといえばそっちが気になるので、その気持ちは、ものすごくよくわかる。ヒコはまったくそんなことはなく、全身銀色に塗ってパントマイムをするシルバーマンなどに釘付け。
 今回の沖縄みやげ(自分用)は、イエラム。伊江島のサトウキビで作られているラム酒で、居酒屋さんで飲んだのがものすごくおいしかったので。
 そういえばなんのために沖縄に行ったかというと、玉三郎さんの沖縄の踊りを観にだった。あいかわらず恐ろしいほどの美しさだったが、どうして男が女を演じるのか、ここへきて自分なりに腑に落ちた。あと、玉三郎さんの声の魅力のようなもの。ある種の倍音みたいな。それが沖縄の調べによって強められていた。あと、翌日の新聞で「再演を望む声が高まっているとの質問に『また来ます。踊りはもう覚えましたので』」ということが書いてあって、たった数回の公演(もちろん稽古は含むが)で「もう覚えましたので」って、すごいな…いったいどれくらいの「データ」が彼の体の中には収められているのだろう…と、異次元に連れて行かれるほどの途方もなさだった。

 …などと書きつつ、まだ心身が旅から戻れない。


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