ぴんよろ日記
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| 2008年05月24日(土) |
濃く深く静かな青空あるいは水底 |
昨夜は、カフェ豆ちゃんで松尾薫さんのピアノを聴いた。 「ショパンのみ」「20席限定」という、すごい設定のコンサートだった。 演奏を聴きながら、「曲って、人の思いから生まれてるんだな」ということを、いまさらながら思った。言うのも恥ずかしいような感想だし、もっと、なんか、「人間以外の偉大な存在からのインスピレーション」とか、そういうことも言いたいような気もするんだけど、それもひとつの面ではあろうけど、だからこそ、それを受けえたショパンが、ショパンという「ヒト」に生まれて、もうひとつさらにショパンという「人間」になって、さまざまな思いを駆け巡らせながら生きていく中で曲を現しつつ、そしていよいよ生身のショパンは滅びながらも、その音楽はこうしてありありと姿を見せる、そのことについて、「『人間以外の偉大な存在』は、たぶんいらっしゃるんだろうけど、ここは今一度、それを受けた『小さき人間』の、ひょっとしたら(大きな存在を軸にして見てしまえば)副産物にしか過ぎないかもしれない『「思い」という鍵』で開く部屋にあるものを大切にしたい」というようなことを思いながら聴いた。 薫さんのピアノは、もうかれこれ、何度聴いたろう。はじめは「親戚のお姉ちゃんが弾くから聴いてみよう」からのスタートだった。それから数年、コンサートに行ったり、飲んだり、いろんなことを話したり、近い時期もあれば、なんとなく遠い時期もあったりした。そして半年ぶりくらいに聴いた昨日の夜は、格段に進化しているのが、ぐわーんと伝わってきて、その追求と精進を思った。私は普段からクラシックを熱心に聞いているわけでもないけれど、どんなに激しく聴こえる部分を弾いていても、そこには前よりもずっと確かな「嵐の雲の上の濃く深く静かな青空あるいは水底」が感じられて、「身体の動きをコントロールしている内部の様子の想像のつかなさ」とともに、演奏が終わったときには、すっかり放心状態に陥ってしまったのである。
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