ぴんよろ日記
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| 2005年06月03日(金) |
無数の破片、普通の破片。 |
昨日の夜のニュースで知った話は衝撃的だった。 原爆で妻と子が黒こげになったのを見てしまった人が、 とにかく「焼かれたくない」一心で、土葬を希望し、かなえられたというもの。 いろんな色や形の、その辺にあるような石が敷き詰められたお墓だった。 墓石が立ってるんでもなく、あからさまに土が盛られてるでもなく、 子どもが並べて遊んで帰った後のような石と簡単な十字架が、 その人の体を覆うように、かろうじてまわりの土地と墓を区別していた。
しかしなにより打たれたのは、 黒こげになった愛する人(今朝まで生きていた)を見ざるを得なかったことと、 死んだ後とはいえ、自分が「焼かれる」ことの我慢ならなさが直結し、 それが何十年も思い続けられ、家族に伝えられたということだ。 写真のおじいさんと、インタビューを受けていたおじさんは、そっくりだった。
おじいさんはただ、 それ以外には考えられなくて、そうしてほしかったんだと思う。 そしてそうなった。 それをずっと聞かされていた、まわりの人たちによって。 死んでしまってからのことなので、聞いたフリをするという手もあったはずだ。 土葬にするためには、たぶんめんどくさいことも発生しただろうし。 でもおじいさんの願いは叶った。
願いが叶う、ということは、普通、とてもいいことや嬉しいことだけど、 この場合は、その願いそのものが、強烈な悲しみから生まれている。 あまりにも大きく開いた穴を、もうこれ以上深くしたくはないから、 穴の底に、ささやかに盛り土をしてみました、という程度だろう。
それでも、せめて叶ってよかった。
原爆の話はいろいろ見聞きもしてきたけれど、 昨日の石ころのお墓には、思いもかけないストレートさで打たれてしまった。
おおぶりな平和運動とか大きな声の演説とか、 そういうものが目にはとまりやすいけど、 たぶん、こんなことでしか、人の心は動かせないと思う。
もう焼かれたくないから、土葬にしてくれ。
そんなことを言わせてしまう悲しみを、細やかに見つけて想像し、 味わっていくことだけが、そんな悲しみを新しく生まない唯一の方法だろう。
そんな悲しい破片が、いま目の前の窓から見える景色の中に、 思っているより普通のこととして、無数に刺さっている。 あの息子さんは、 「オヤジが好きだったから、お墓には饅頭をいつも供えるんです」 という感覚で、土葬について語っていたように見えた。 それはだけど、大変におそろしいことだ。 普通じゃないことが、普通の感覚でとらえられちゃっている。 たぶんあの石ころのお墓も、行こうと思えばすぐに行ける距離にあるんだろう。 土葬されたおじいさんとは、小さいころ、すれちがったことがあるかもしれない。 そっくりの息子さんとは、銀行で隣に座ったことがあるかもしれない。
この町の途方もなさに、あらためて途方もなくなってしまった。
◇◆◇
午前中に、ひとつ打ち合わせ。 お昼はおいしいものが食べたいと思い、ちょっとふんぱつした。 いくつか「これがこうだったら…」と思うところはありつつも、 カウンターの隅っこで、静かに、おいしくいただいた。 その店は、いつもは、 有閑マダムと書いて小銭持ちのおばちゃんと読む人々の話の花が咲き乱れており、 それが嫌いで足が向かないことも多々あるが、 今日は店の奥さんが「こんな、ポカンと空く日もあるんですよ」と言われた通り、 私がいる間は、私ひとりだけだった。のんびり食べた。 1時も過ぎて、席を立った時、ぞろぞろと有閑マダム(以下略)が入ってきた。 さぞ話の花が咲きまくることだろう。 満開レッドゾーン針振り切れの巻に違いない。
おいしかったのは、イトヨリのソテーの下にあったラタトゥイユ。 自分でも作れないことはないが、この軽さがプロだなー、と思った。 味付けや煮込み具合が、つい過剰になってしまうのが素人というものだ。
店においてあったワインの本を読んでいたら、 「ワイン好きと称している人の多くは、 目の前のワインの味を純粋に味わったり楽しんだりするのではなく、 自分の知識(何年もののどこどこ産のものは、こんな味がするとか)に 当てはまるかどうかで、そのワインの良し悪しを決めたりする。 だからたとえおいしいと思っても、知識に当てはまらないと、素直に喜べない」 というようなことが書いてあって、 私が「ワイン好き」の人に持っている、モヤモヤしたいらだちがスッキリした。
まー、つまりは「なんか言わんと飲めんのかい!」と小突きたかったのだった。
うんちくタレ蔵と飲むと、そんだけで味がおかしくなる気がするのでイヤだ。 グラスをグルグル回して「むふぅ…」とか言うのもイヤだ。
◇◆◇
かなり強烈に、みたらし団子が食べたくなってしまった。作ろう。
…と思って台所に立ったら、できたのはギョウザだった。どうして?Why?
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