ぴんよろ日記
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高速で九州を抜け、中国道へ入ると、徐々に青空の覇気がなくなる。 中国道から米子道へ入ると、もうアウトだ。青空の息の根は止まる。 そのかわり、曇り空の曇りが、ぐぐっと筋肉質になる。 身のつまりが違う鉛色の空。 よく山陰の冬空を「鉛色」って表現して、それはすでに陳腐にさえ思えるけど、 山陰の冬空に使う「鉛色」は「色」ではなくて、「鉛」の質感の方に重点がある。 鉛と聞いてイメージする、重さ。 雲の鉛色は、それ自身に鉛色をとどめておけずに、 眼下に広がる空気や風景にも鉛色を薄く、しかしすべてにあふれさせている。 だから車を走らせていると時々現れる標識の赤や黄色が、 妙に生々しくさえ目に刺さる。
「夢千代日記」が大好きで、1人で冬の山陰を歩いたこともあったけど、 あのときはそれでも3月の終わりだった。 雪は積もっていたけれど、明るさへ、向かっていた。 しかし今回の旅は、季節は当然のこと、 人数こそ多いが、油断すればメンバーの気持ちも向かうのは暗い方だったので、 着いた日の夕方から(つまり着いてすぐから)、 九州が南国と言われるわけがとてもよくわかって、 そしてそれが恋しくてたまらなかった。 でも自分はこの中でも南方系なんだし、 ポジションとしてもそう振る舞うべきだと言い聞かせて、 少しでも明るく話したりしていたけど、元々はそんなキャラでもないし、 眠るときにはぐったりと泣きそうになり、 懐かしい人の足を、こっそり触る夢を見た。
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