ぴんよろ日記
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2003年04月02日(水) もうそこにはいない。

この前、ある人の展覧会のようなものを見ました。

その人の本を、私は10年ほど前からたくさん読んでいて、
その人が持っていた物の写真もたくさん見ていました。
その人は数年前に死んでしまいました。
その人が持っていた物たちは、持ち主に死なれてしまったわけです。
その展覧会には、その物たちが並んでいました。

写真のほうがよほど楽しかったです。
とても寂しい気持ちになった。
…いや、はじめは「寂しそうだな」という気がしていて、
「それらを愛した人からもう使われることはないから」と、
説明しやすい理由を考えていたのですが、
単なる寂しさとも何か違うような気がして、
何だろう、と思いながら見ました。
考えた末の結論は「ついていっちゃったんだろうな」でした。
その物たちを愛した人があの世にいっちゃったと同じ時、
その物たちのいちばんいいところ、魂のようなものも、
ニコニコしてついていっちゃったんだろうな、と。
だから会場に並んでいるのは目に見えるただの「かたち」の部分。
寂しさというよりも、成仏しちゃったさっぱり感。
お骨、のようなもの。
もちろん目に見える部分の「かたち」だけでも、
とても美しい物たちでしたが、
もう、そこにはいませんでした。





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