ヲトナの普段着

2005年04月03日(日) 恋せよチャトレ!

 恋に必要なものってなんだと思う?
 
 その答えはいくつも出てきそうだけど、僕がここで着目したいのは「無垢である」という心のありかた。恋は相手を無条件に受け入れてしまうよね。冷静に判断すると否となりそうなことでも、恋をしてしまうとそれは是となってしまう。摩訶不思議な人の心理状態、それが恋。最近、恋してますか?
 
 
 チャットするときのチャトレの姿勢もさまざまなようだけど、客を客としか思ってないようなチャトレと客以上の存在として受け止められるチャトレとでは、自然と態度も言葉も違ってくるし、客はそれを敏感に感じているのではないだろうか。それは、事務的ともプロ根性丸出しとも翻訳できそうだけど、単なる客扱いしかできないチャトレとの会話ほど、つまらなく後悔するものはない。
 
 男たちはそこに何を求めてくるのか。アダルトサイトにあっても、客がアダルト行為のみを求めてくるとは限らない。ましてや、誰でもいいから話し相手になって欲しいと思ってライブチャットに集っているとも僕には思えない。そういう理由であるならば、無料のチャットがいくらでもあるからだ。多かれ少なかれ、ライブチャットに集う男の心には「出逢い」という言葉があり「恋」という感情への敬慕があるのだと僕は察している。
 
 出逢いや恋であるならば、無料のチャットだって可能でしょと仰るだろうか。そう、可能だし現実にそういう出逢いや恋は日々星の数ほど生まれているのがインターネットという世界のようにも思える。しかし、無料のチャットとライブチャットとの違いってなんだろう。哀しいかな男という生き物には、「視覚」で物事を判断する性質があって、文字世界のみで想いをめぐらせるよりは、女の姿を目の当たりにしながら想い焦がれるようなところがあるのだ。もちろん特異体質もいるけど。
 
 だから、カメラの向こうにいる話し相手は常に「生身の女」でなくてはならない。客と恋愛してはいけないとインプットされたロボットであってはいけないのである。そんなロボットと話をするくらいなら、僕は無料の文字世界を彷徨っていたほうがはるかに楽しいような気がする。男という生き物なりの出逢いを求め恋を求める場、それを具現化してくれたのがライブチャットという見方もあるのではないだろうか。
 
 
 それでは、ライブチャットに本物の出逢いってあるのだろうか。答えはイエス。あります。ライブチャットで知り合って直接逢った経験は、この僕にもあるから。もっとも僕の場合は、女性写真を撮ったりしてる関係で、チャトレのプロフ写真を撮る目的の「逢瀬」ではあるけど、それでも「出逢い」には違いないだろう。そこから現実の恋愛へと発展しないとも限らないではないか。まあ、発展してないからこうやって書けるんですけどね……むにょむにょ。
 
 まだ僕がライブチャット若葉マークの頃、不埒な僕はとあるチャトレ相手に「写真のモデルを探してるんだ」と話したことがあった。すると開口一番彼女は「そういう目的ならここに来ても無駄よ」とあっさり返してくれた。いま思えば確かにそれは正論に違いないようにも思える反面、それじゃ身も蓋もないだろうという気はいまだにしている。
 
 バイトでモデルをやる子は結構いる。かつては少なかったけど、最近ではその手のサイトも増えてきて、きちんとした段取りを踏めば、ポートレイトであろうがヌードであろうがモデルなんぞいくらでも手配可能だ。しかし「そういう話じゃないでしょ?」という気持ちが、どうしても僕の胸中で燻りつづけて消えようとしないのである。
 
 おそらく彼女の脳裏には、「撮影=実際に逢う」という等式が浮かび上がっていたのだと思う。当たり前だ、いくらネットワークが進歩しようが、電線のなかで写真撮影などできる道理がない。撮るからには逢わねばならない。しかしそこで、即座に前述のような言葉を返してしまって、果たして彼女はチャトレたり得るのだろうか。嘘をつけとはいわない。逢う気もないのに「いいわねぇ」なんて相手に気を持たせる物言いが是とも僕は思わない。けれど、可能性すら否定して返してしまっては、いきなり堅固な鉄の扉を閉ざしてしまうようなものではないか。
 
 
 僕の胸に刻まれたチャトレたちは、誰もが上手に恋の相手をしてくれた。それは儚い夢物語かもしれないけれど、彼女たちの一喜一憂は間違いなく、僕の心に深く刻まれている。おそらくは僕だけでなく、彼女たちと言葉を交わした数多の男たちもみな、似たような経験をしてるのだろうけど、彼女たちは決して八方美人なのではなく、客である男たちの心を上手に受け止めてくれていたのだと僕は想像している。
 
 そしてその心の根底には、「無垢」という心の状態があったのではなかろうかと僕は思うわけだ。僕の言葉に感心し、それに対する自分の想いを素直に返してくる。僕はその言葉に感じ入り、彼女に心を開いてゆく。そこにはきっと、「無垢」という心があったのではないだろうか。
 
 客である男たちのみならず、女であるチャトレたちにも、少なからず出逢いへの夢はあろうかと思う。数限りない恋物語が生まれているのが、このライブチャットという世界のようにもみえるからだ。たしかに、初めてのチャットでいきなり「逢おうぜ」と口走る莫迦な男もいるけど、そういう勘違い男を上手に嗜めて、「出逢い」という言葉の意味を誰よりも深く考えているのが、僕はチャトレという女性たちではなかろうかとも想像している。
 
 チャトレたちよ、恋をしなさい。多くの男たちを知り、彼らに映る自分の姿をよく見極め、それを手に己を磨き上げていきなさい。恋する女の姿というのは、まことに美しいものなのだから。


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ヒロイ