ヲトナの普段着

2004年02月09日(月) 私の写真を使ってください /写真集「Figure」公開

 年頭にヌード写真撮影に触れ、公開はしませんと宣言していたのですが、流れの中で撮影協力者のご厚意により、写真集「Figure:姿」として本日公開することとなりました。思いがけぬ展開に自身がいまだ戸惑いを残しているのですが、これも良い経験になろうかと……。
 
 
 「私の写真をサイトで使ってください」
 
 そのような申し入れを受けたのは、撮影を終え、写真の整理が一通り完了してからのことでした。僕自身がテキストサイトを公開運営している話は事前にしてあったのですが、こちらもヌード写真をコンテンツとする意図はありませんでしたし、撮影そのものも当然のことながら、作品としてまとめて公開することを前提とはしていませんでした。
 
 言い出した彼女自身、おそらくは現在あるコンテンツ「Photo」内での使用という意味であったと思うのですが、その後数回のやり取りを経て、それなら写真は写真らしく公開することにしましょうという話になりました。
 
 「Figure」という言葉は、ご存知のように「姿」という意味です。人にはそれぞれ固有の「姿」があり、それを別の人たちは美しいとか醜いとか、あるいは艶やかとか哀しげだとか表現しますけれど、どのような形であっても、そこにはその人にしか持ち得ない背景を伴う「姿」があるのだと僕は感じますし、それを写真という瞬間を封じ込める媒体で記録表現できればと思っています。そんな想いをこめて、僕はこの写真集に「Figure」と名づけたわけです。
 
 
 僕は、いわゆるグラビアのような写真は、あまり好みではありません。勉強という意味では、グラビアのように「綺麗に」被写体を撮る知識や技術も必要だと思いますし、今後も折に触れて学んでいきたいと考えていますが、土台が僕の美感覚のなかに存在しないスタイルなのだと感じています。
 
 モデルをいかに綺麗に撮るかよりも、目の前にある光景のなかにモデルが溶け込んでいるというか、そこにモデルがいることで画面がどう物語性を帯びてくるかということのほうに、僕はどちらかというと興味があります。そういう意味では、必ずしもモデルに合焦するとも限りませんし、「半分もモデルが写ってないじゃん」という写真もあります。ときには、手ぶれしていても「これいいなぁ」と自分で感じるものもあったりします。
 
 なにを芸術と呼ぶかは定かでないにしても、僕の中にある芸術性という価値観は、やはり「個性」に繋がるものだと思えますし、頑ななまでにそこに撮影者である「僕」を含有しないことには、納得のいく創作はできないと考えています。
 
 こんな物言いはひんしゅくを買うかもしれませんが、「完璧な美」ほどつまらないものはありません。女性はどこかで「美」を求める生き物かもしれませんけれど、僕はむしろ、なにかが足らないからこそ美しいと感じるタイプのようでして、世間一般が論じる美の世界よりは、その人しか持ち得ない特有の「なにか」に惹かれる傾向がある気がします。
 
 
 ヌード写真を撮っている話をすると、「被写体は彼女なの?」とか「モデルとセックスしたりするの?」と訊かれることも少なくありません。確かに恋人の姿を撮る人はいますし、「ハメ撮り」というセックスしながらの写真を撮っている人もいます。アルバイトモデルのなかには、公にはハメ撮りなどと書かないまでも(ある意味、売春に近いでしょうし)、撮影以外のオプションと称して男の欲望を処理させている女性も少なくありません。
 
 ただ、僕自身は撮りながらいつも思うんですけど、おそらくモデルが恋人であったら、冷静に創作という姿勢で作品作りに没頭できない気がします。時間的な余裕が呆れるほどある方ならいざしらず、限られた時間のなかで自分が目指す作品を作るとなれば、そこからは自然と、撮影以外の行為に費やす時間は排除されて然るべきでしょう。やりたいなら、写真など撮らずにセックスに没頭してたほうがいいだろ……という感じでしょうか。
 
 反面、それではモデルに対して好意を抱かないかとか、勃起はしないのかと問われれば、それは「否」と応えます。前述のように、僕は女性それぞれに「固有の美」があると感じています。それを僕なりに読み解いて解釈し、写真という媒体で表現することが僕の作業だとも思っています。ですから、モデルと一対一で向かい合っているときは、大抵はモデルに惚れこんでいます。嫌々ながら撮っていたって、いい写真など撮れる道理がないでしょう。
 
 撮りながらモデルとの密着度というか、精神的な側面が強いかとは思うのですが、それこそセックスで絡んでいるような空気に包まれ始めると、確かに勃起することはあります。だからといって、そこでモデルに圧し掛かってしまっては犯罪ですし、人間が理性と知性を兼ね備えた生き物であることを忘れた所業となってしまうでしょう。幸いにも……僕は人間でした。
 
 そして、そういう場面を経た写真というものは、思いのほか良い出来栄えだったりしますから、芸術もなかなか人間味溢れる作業の結果といえるのかもしれませんね。
 
 
 写真集「Figure」は、いわゆる連載形式をとって公開していこうと考えています。ひとりのモデルに対して幾つかのシーンで撮るのが常ですので、それらを順次公開していくことになりますが、更新は不定期となりますし、必ずしもひとりのモデルでシリーズを組むとも限りません。その辺は、作品を作りながら模索していこうと考えています。
 
 またこれを機に、作品作りに協力してくださる女性を募集したいと思います。経験や年齢不問で、意欲のある方からのご連絡をお待ちしております。仔細は「Figure」のほうに記載してありますが、アルバイトモデルを募集するものではありませんので(薄謝は用意しますが)、その点誤解なさらないようお願いします。
 
 「Figure」は、今回に限りリンクをこちらに付記しておきますが、ヲトナごっこのトップページ下のほうに四角いアイコンがありますので、そちらをクリックしてご覧ください。僕が切り取った「姿」から、なにかを感じ取っていただけると嬉しく思います。
 
【 Figure 】


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