| 2010年11月08日(月) |
衝突ビデオのテレビ放映は著作権法違反となるか |
日経(H22.11.8)1面で、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件のビデオ映像がインターネットに流出した問題で、検察当局は、刑事事件として捜査に乗り出す方針と報じていた。
インターネットに流出させた者は、国家公務員法違反などに問われることになるだろう。
ところで、このビデオ映像はテレビのニュース番組でも何度も放映されている。
しかし、ビデオ映像の著作権は国にあり、国はその使用を許諾したわけではないから、放送局がビデオ映像を放映することは著作権侵害にあたらないのだろうか。(流出させた者が著作権侵害にあたることは間違いない。)
この点、著作権法は、著作権者の同意がなくても、一定の要件の下で報道のために著作物を利用することを認めているので、その要件を満たすかが問題になる。
かつて、山口組の組長承継式のビデオを、ニュース番組で無断で放送したことが著作権侵害にあたるかが争われたことがある。
そのケースでは、組長承継式のビデオを4分以上放映したのであるが、裁判所は、報道のための利用を認め、著作権侵害に当たらないと判断している。
今回の衝突ビデオについても、それをテレビで放映することは、報道のための利用として認められる可能性は高いと思われる。
しかし、報道のための利用といっても、著作者人格権を侵害してはならない。
著作者人格権の一つとして公表する権利があるので、未だ公表されていない著作物を公表すると、たとえ報道のための利用であっても著作者人格権を侵害することになる。
今回流出したビデオ映像は国会議員にも公表されていない部分のようであるから、衝突ビデオ映像をテレビで放映することは、ビデオの著作者の有する著作者人格権(公表権)を侵害している可能性があるのではないだろうか。
もっとも、国が「公表権を侵害している」と言って報道機関に文句をつけられる立場ではないだろうから、実際には問題にならないのだろうが。
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