ロマンティスト・テイスト...jovanna

 

 

「バッカ」PV - 2007年11月27日(火)

さあ、切符をしっかり持っておいで
お前はもう夢の鉄道の中でなしに
本当の世界の火やはげしい波の中を大股に
まっすぐ歩いて行かなければいけない

天の川の中でたった一つのほんたうの
その切符を決しておまへはなくしてはいけない

宮沢賢治「銀河鉄道の夜」第三稿までに遣る文章


冒頭、画面に浮かび上がって来たこの文字を見て驚いた。
驚いたけれども、この「バッカ」のPVを見終わった時、
ジョヴァンニというのは、サラリーマンの格好をしているけれど
少年のままこの現実社会で彷徨う吉井和哉自身であり、
そのジョヴァンニを教え諭す、
セロのような声だというブルカニロ博士のこの冒頭の言葉も
吉井和哉の落ち着いた深い優しい声なのだろうと
そう思った。
居酒屋で「宇宙の納期」について論じているサラリーマンの
上司と部下があがた森魚さんと松田洋治さん。
あがたさんが出て下さっているのも嬉しいし、松田さんはホントに
上手い役者さんだよね。
てっきりKREVAさんが吉井を殴るチンピラ役なのかと思ったら、
意外なところで出演されててにんまり。
想像以上に似合ってらした。
チンピラ役は、お笑いの西川君とまさかのアッ君。
あまりの嵌り役に驚嘆。良く出てくださったなあ。感謝です。
そして、mixiでPV制作の話を知ってからずっと期待が高まっていた
あの「JAM」PVの男の子と女の子がこんなにも成長した姿に感動!
クリスマスの街で流れるTV画面の中の「JAM」PVの子供達の映像。
サラリーマン吉井が追憶している「JAM」の子達。
すっかり成長した二人の姿。
ビルの壁面に映し出された、おそらく吉井和哉自身の幼少時の写真。
クリスマスの歌だというのに、何とも痛いくらいに切なくて、
でもこれ以上ないくらいに愛しい気持ちが込み上げて来るPVだ。

『感じるだけで良い』
いつも私は、新しい曲を聴いたりPVを見たりすると
偉そうにああだこうだと沢山の言葉を並べてこの日記を綴っているけれど、
もう一度この「バッカ」PVを見ていたら、『吉井和哉が好きだ〜〜!』って
それで良いじゃないかと、ただ『溢れ出しそうなこの愛』を感じるだけで
それで良いじゃないかと思った。
「銀河鉄道の夜」の第一稿から第三稿、最終稿について考えていて
次の文章に出逢った。
宮崎の賢治『農民芸術概論綱要』
「農民芸術の綜合」
……おお朋だちよ いっしょに正しい力を併せ 
われらのすべての田園とわれらのすべての生活を
一つの巨きな第四次元の芸術に創りあげようでないか……

まづもろともにかがやく宇宙の微塵となりて無方の空にちらばらう
しかもわれらは各々感じ 各別各異に生きてゐる
ここは銀河の空間の太陽日本 陸中国の野原である
青い松並 萱の花 古いみちのくの断片を保て
『つめくさ灯ともす宵のひろば たがひのラルゴをうたひかはし
雲をもどよもし夜風にわすれて とりいれまぢかに歳よ熟れぬ』
詞は詩であり 動作は舞踊 音は天楽 四方はかがやく風景画
われらに理解ある観衆があり われらにひとりの恋人がある
巨きな人生劇場は時間の軸を移動して不滅の四次の芸術をなす
おお朋だちよ 君は行くべく やがてはすべて行くであらう


ジョヴァンニが「銀河鉄道」の旅から帰って、
ひとりこの世の中の暮らしに向かって駆け出して行ったように
私もこの「バッカ」を見終えて、ひとつまた確かなものを
与えられた気がする。
おめでたいかもしれないけれど、そう感じられる事は、
とても幸せだと感謝した。





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