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2009年04月02日(木)
「僕は本当に性善説に立って『2ちゃんねる』を作ってきたつもり」

『本人 vol.09』(太田出版)の「巻頭ロング手記・ひろゆき〜世界の仕組みを解き明かしたい」より。

(引用部はすべてひろゆきさんの発言です)

【でも僕は、性善説ですよ。性悪説だと思われているのかもしれないんですが、そんなことはないです。
 たぶんそれはみんなからあまり納得してもらえない部分かもしれないですね。なぜ納得してもらえないのか、僕の方から見ると不思議でしかたないんですが。
 ミクシィが性善説のイメージがあるかもしれないですけど、それは違います。だって招待制にするということは、悪い人が入らないようにしているということでしょう。アカウントを作って個人情報を入力しないと中に入れないというのは、何かその人が問題を起こした時に追跡できるようにしたいからでしょう。
 でも2ちゃんねるはアカウントも招待制もない。何をしても自由ですよ。だって人は悪いことなんかしないんだもん。そういう発想で2ちゃんねるは運営されています。
 そういう意味で、僕は本当に性善説に立って2ちゃんねるを作ってきたつもりなんですけど、そういうふうに思う人はあんまりいないんですよね。】

〜〜〜〜〜〜〜

 ひろゆきさんの場合、「性善説」にもとづいて、というよりは、「人を掲示板で『自由』にさせたら、どういうことが起こるのか?」と面白がって観察しているのではないか、という印象を僕は持っているのですが、ここで語られている内容は、たしかに「正論」ではあると思います。

 僕は「2ちゃんねる」も「mixi」も利用するのですが、おそらく世間的には、「2ちゃんねる」よりも「mixi」のほうがはるかにイメージが良いと思われます。合コンで「僕、『2ちゃねらー』なんですよ」と告白すれば周囲はドン引きでしょうが、「マイミクになりましょう」と言われれば、そんなに悪い気はしないはずです(相手が人間としてすごく感じ悪ければ別でしょうが)。
 でも、そう言われてみれば、たしかに「2ちゃんねるのほうが性善説に基づいたコミュニティ」ではありますよね。
 逆に、「性善説で『自由なコミュニティ』を運営すると、どういうことになるか」を可視化した、貴重な社会実験でもあります。

 実は「mixi」だって、そんなにクリーンな世界ではありません。
 コミュニティには「荒らし」がいるし、ナンパ目的、怪しい商売の勧誘目的の利用者はいます。
 ただ、多くの利用者にとっては、そういう「暗部」は、「自分から望まないかぎり、目に触れにくくなっている」だけのことです。
 そもそも、会員数がこれだけいれば、「mixi」のメンバーであることそのものにはなんの特権もありません。
 いまの「mixi」が会員制であるメリットは、「荒らしや悪口を言う人がいないこと」ではなくて、「荒らしや悪口を言う人が見えにくいように、自分の視界や情報の公開範囲を狭めることができること」なのです。

 こうして長年ネットで書いていると、やはり、いろいろ言われることもありますが、「2ちゃんねる」に書いてある悪口は「見ようと思えば見られることがほとんど」だけれど、「mixi」だと、「自分が言及されているのだろう文章が『友人のみ公開』になっていて読めない」というケースがけっこうあります。
 僕の場合は、読めると「ついつい読んでしまう」ので、「読めない」ほうが精神的にラクなんですけどね。

 そこが「自由」であるのに「2ちゃんねる」がものすごく怖い場所、いびつな場所に見えるのは、「人の心が怖くていびつなものだから」なのでしょう。
 「2ちゃんねる」のなかにも、善意に満ちたスレッドは少なからずありますから、あれだけの巨大コミュニティを「2ちゃんねる」は……と十把一絡げに語ることそのものがおかしいのかもしれません。
 「荒れているスレッド」をわざわざ見に行っているのは、誰かに強要されているわけではなく、「自分自身の選択の結果」なのだから。