初日 最新 目次 MAIL HOME


活字中毒R。
じっぽ
MAIL
HOME

My追加

2006年10月17日(火)
上野樹里、「のだめ」を語る。

「日経エンタテインメント!2006.11月号」(日経BP社)の「エンタ界を変える〜男と女の新モテ基準」より。

(「PART1・人気急上昇中!ちょいダメ男とアイタタ女」のなかの、「アイタタ女ケース1・テレビ「のだめカンタービレ」の一部です)

【「月9っぽくないかなと思いましたが、『西遊記』の流れで、逆に月9で勝負したいということでスタートしました。ただし従来のような単純なラブコメではなく、トンがったギャグドラマにするつもり。学生時代特有のキラキラしたものが出るドラマにしたい」と若松央樹プロデューサーは話す。そのための方策は3つある。
(1)斬新なキャラクターで引っ張れるドラマにする。のだめを筆頭に魅力的なキャラを生かす。
(2)クラシックという題材。意外とドラマで扱われていないので、そのど真ん中の面白さを追求したい。小気味いいギャグでつなぐ。
(3)もうひとりの主人公・千秋真一の成長ぶりを描く。「オレさま」キャラで、天才で、金持ちで…嫌われるはずなのに、お人よしさを失っていない。視聴者はその成長が楽しみになるようにしたい。
 若松氏は日本テレビからの移籍組で、フジで最初に手がけたのが『電車男』。「こういうのが今はウケるんだな」ということを体得したことが今回につながった。
 ただし、アイタタ女のだらしなさは、描き方によってはマイナス面になると若松氏は考えている。
「部屋の汚さは男の目線と女の目線では違う。だから演出するたびに女性スタッフに尋ねてます。ここまでヤルと引くのかどうか。女性ってシミはいいけど毛玉はイヤとか言うんだよね」】

(以下は、「のだめ」こと野田恵役の上野樹里さんのインタビューの一部です)

【インタビュアー:のだめにどこが似てる?

上野:私にとってののだめのイメージは、黄色とかオレンジとか暖色系の色。私自身も黄色が好きなんです。のだめはこんな濃いキャラクターなのに、どこかサラサラ演じなければならない。でも現実にこんな子がそばにいたら、超うざくて周りはたまらないと思います(笑)。だって、人の弁当を盗むし。自分で買え!(笑)。彼女は黙って食べて、何にも言わずに去るじゃないですか。でも誰も憎めない。ペットというか、動物的ですよね。頭臭いのと、同じ服3日着るのはやめてほしいかも(笑)。

インタビュアー:のだめみたいに、だらしない人は周りに増えてますか?

上野:どうなんでしょうか。でも共働きが増えているので、そういうことがあるかもしれませんね。千秋みたいに色々と経験して頭で考えるというよりも、感覚だけで生きている感じ。千秋の原石は整ってつるつるなんですけど、のだめの原石はとげとげでガタガタがちがち。とがっていて星型(笑)。それを千秋がきれいにしようとするんだけど、そのまま残しておいたほうがいいものもあったりして。のだめにとっていい演出家なのかも。

インタビュアー:アイタタ女がドラマの主人公になることが増えてきた。

上野:それは多分、親近感がわくからかな…。完璧なカップルなんて非現実的、そんなの、ありえないというのがあるんだと思う。】

〜〜〜〜〜〜〜

 昨日からはじまった、TVドラマ『のだめカンタービレ』なのですが、プロデューサーは『電車男』を手がけていた人らしいです。そういえば、『電車男』のドラマのコンセプトは「エルメス側から描く」ということでしたから、今回の『のだめカンタービレ』での「千秋の成長ぶりを描く」という視点には、『電車男』での経験が生かされているのかもしれません。

 それにしても、「原作モノ」のTVドラマというのは、「原作があるからドラマ化もラク」だと考えがちなのですが、実際はそんなに簡単なものではないみたいです。「のだめの部屋が汚い」というのは、原作では「お約束」なのですが、TVドラマでの「のだめの部屋の汚さ」は、「汚くなければいけないけれど、視聴者を不快にさせてはならない」という微妙な「汚さ」が要求されるのですから、制作者の苦労がしのばれます。実際に番組を観た印象では、「汚い部屋」というよりは、ぬいぐるみなどがゴロゴロしている「散らかった部屋」という感じでしたし、あんまり生々しいゴミは画面中にはみられませんでした。やっぱり、マンガでの「ものすごく汚い部屋」というのを実写で再現してしまうと、多くの視聴者は引くだろうなあ、とは思います。ゴキブリの大群がマンガに描かれていたら笑えても、実写でそれを観せられたら、「引いてしまう」人が多いでしょうし。
 「汚さ」の基準というのは人それぞれ違いますから、「大部分の視聴者にとって、たしかに汚いけどチャンネルを替えるほど不愉快ではない」という落としどころというのは、けっこう難しかったはずです。
 それは、キャラクターにもいえることで、濃いキャラクターでなければ「のだめ」ではないし、だからといって、あまりに濃く演じすぎると「超うざくて周りはたまらない」。そのあたりのバランスの見極めって、実際はかなり大変で、「ストライクゾーン」は、そんなに広くはないはずです。
 まあ、のだめと千秋のカップルっていうのは、ある意味「完璧なカップル」以上に「非現実的」な気もするんですけどね。