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2006年07月28日(金)
『ジャパン・エキスポ』の「フランス人おたく」たち

「週刊SPA!2006.7/25号」(扶桑社)の鴻上尚史さんのコラム「ドン・キホーテのピアス・577」より。

【さて、フランスに行った仕事とは、先週紹介した『クール・ジャパン』というNHK・BS2の番組のためで、パリで行われる『ジャパン・エキスポ』というイベントの取材でした。
 この『ジャパン・エキスポ』がね、とにかくすごいのよ。
 3日間で参加者が約8万人。やって来るのは、当然、みんなフランス人。で、会場で紹介されているのは、ほとんどが「日本のマンガ」!
 一番、分かりやすく言うと、巨大なコミケが、パリで開かれているわけです。
 といってね、”おたくの祭典”ではないのですよ。もちろん、おたくっぽい人もいますけどね。んで、コスプレもたくさんいますけどね。そこはそれ、フランス美人が多い!
 なんか、怖くないコスプレを見るのは新鮮ですよ。
 キューティーハニーなんかもいるわけね。これが、可愛い!いや、すれ違って、ハッとするわけですよ。
『ジャパン・エキスポ』、今年で7回目。日本のマンガを熱烈に愛するフランス人が、自分たちの手で始めたイベントです。
 んで、一昨年、参加者が殺到しすぎて事故が起こり、去年は自粛したそうです。んで、今年は、会場をどでかく変えて開催しました。
 僕が行ったのは、日曜日、最終日でしたけど、4万人の人が来てました。
 で、マンガから発展して、「とにかく日本がかっこいいの!」と思っている人たちが来ていますから、”ゴス・ロリ”ファッションの人も普通にいるわけです。
 ”ゴシック・ロリータ”も日本なんですね。でも、フランス人の方が似合っているんですよね。
 番組では、『ジャパン・エキスポ』に興味をもった8人のフランス人と話しながら、いろいろと、フランス人がクールと思う日本を紹介しました。
 んで、ゴス・ロリは、かなりの上位にランクされていて、まさにこのファッションで番組に参加した人がいて、「フランスでも売ってるの?」と聞くと、「インターネットで日本から買ったの」と嬉しそうに答えてくれました。

 とにかく、「日本のマンガが大好きになった」ことから「マンガに登場する日本が大好きになった」となった人たちが、4万人も来ているわけで、日本の女子高生の恰好をしているフランス人もたくさんいました。
 でね、また繰り返し書きますけど、フランスですから、可愛い子が多いのよ!
 ちなみに、『ジャパン・エキスポ』での人気のマンガベスト10は、1位『ナルト』、2位『ヒカルの碁』、3位『鋼の錬金術師』、4位『天上天下』、5位『NANA』、6位『バガボンド』、7位『GANTZ』、8位『絶対彼氏。』、9位『軍鶏』、10位『名探偵コナン』です。
 コスプレでみんな歩いてるんだけど、「いったい、それは、なんのコスプレだあ?」と思うのもたくさんあって、逆にフランス人から教えられるわけです。】

〜〜〜〜〜〜

 いや、鴻上さん、フランス人(とくに可愛い子)に甘すぎないか?と言いたくなるような文章ではあるのですが、この『ジャパン・エキスポ』、かなり盛り上がっていたみたいです。いろんなメディアでも取り上げられていましたしね。
 ただ、その写真を観たかぎりでは、「これは何のコスプレなんだ?」と激しく疑問になるようなものもけっこうありましたし、海外で賞賛されて嬉しいのはわかるのですが、あまりに贔屓の引き倒しになるのもどうかなあ、と思われます。確かに、ゴシック・ロリータは、フランス人の可愛い女の子がやったら似合いそうではあるのですけど、日本人のコスプレ=「痛い」なんていうのはさすがに偏見なのでは。どちらかというと、フランス人のコスプレのほうが、同じフランス人からすれば「痛い」と判断されている可能性のほうが高そうな気がします。

 ちなみに、これを読んでいて、フランス人に『ヒカルの碁』の「碁」がわかるのか?と僕は疑問になったのですが、この会場のなかには、「碁を打つスペースも設けられてた」そうなので、マンガがきっかけで、それに関連した「文化」まで興味を持たれているみたいなのです。そういう意味では、日本とフランスの友好のために、「日本のマンガ」は、大きな力を発揮していると言えそうです。ワールドカップに出場していたイタリア代表の選手が、「キャプテン翼」フリークだったなんていう話もありましたし。
 この「人気マンガベスト10」に挙がっているタイトルを読みながら、僕はそこに「海外でウケるマンガの傾向」みたいなものを見出そうとしてみたのですが、見事なまでにジャンルも作風もバラバラで、「日本国内と同じ」だと感じました。ということは、フランス人は、一部の特殊な作品だけを受け入れているのではなくて、マンガという文化そのものを認知し、日本人と同じように楽しんでいる、ということなのでしょう。

 この会場の「カラオケ大会のようなもの」で、鴻上さんは、何百人ものフランス人が、『鋼の錬金術師』のアニメ主題歌を日本語で絶叫している姿を目の当たりにして、「世界の何かが確実に変わっていっている」と感じられたそうです。
 もしかしたら、日本のマンガが、21世紀の世界を救うことになるのかもしれませんね。