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2006年01月13日(金)
「ネズミ踊り」戦争

毎日新聞の記事より。

【千葉県浦安市は13日、同市の成人式に関する朝日新聞のコラム記事に対する抗議書を12日付で郵送したと発表した。個性を出した式に対して中傷する記事として「厳重に抗議し、速やかな謝罪を求める」としている。
 抗議書によると、記事は10日夕刊1面「素粒子」に掲載された東京ディズニーランド(TDL)で9日に行われた同市の成人式に関するもの。「浦安の新成人。遊園地のネズミ踊りに甘ったれた顔して喜んでるようじゃ、この先思いやられる」という内容だった。
 市長と市教委教育長名で、「成人式はTDLの協力を得て市長や議長のあいさつなど粛々と進められた。記事は式典前後に行われたショータイム(計5分)のみを捉えたもので、正確で公正な記事とはいえない」などと抗議、(1)新成人に対する謝罪と謝罪文(2)記事の目的やねらい(3)記事掲載に至った経緯の掲載や説明を要求している。
 同市の成人式は02年からTDLで開催されており、今年で5回目。朝日新聞10日付朝刊では、写真付で成人式の記事が掲載されている。
 朝日新聞東京本社広報部のコメント 「素粒子」は筆者が政治、社会現象を批評するコラムです。当該の記事は成人式についての一つの見方を示したものです。浦安市長からの抗議書には、改めてご返事します。】

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 この抗議、ディズニーランドを経営しているオリエンタルランド社からだと思って読んでいたのですが、読み直してみたら、なんと浦安市そのものからだったのですね。凄いよ浦安市、もうオ社の忠実な犬だな……

 とか書いてもとりあえず「活字中毒R。」くらいの規模の個人サイトなら「お目こぼし」をいただけるわけですが、天下の朝日新聞ともなれば、こうして公的な抗議を受けてしまうみたいです。
 僕は、問題のコラムの全体を読んでいないのでなんともいえない面はあるのですけど、「いかにも頭が固そうな朝日の編集部員が、現代の若者の気概の無さを嘆いて書いたコラム」みたいですね。まあ、この手の「新成人の軟弱さを咎める人生の先輩」というやつは、実社会にも、WEB上にも腐るほどいるのです。居酒屋にでもいけば、そんな人ばかりのような気もしますし。そして、そういう人たちの御高説を聞かされる側からすると「新成人より、お前自身のことをどうにかしろよ!」というのが実感で、そんな厭味に「社会的影響力」なんて全くありません。
 【「浦安の新成人。遊園地のネズミ踊りに甘ったれた顔して喜んでるようじゃ、この先思いやられる」】なんて、そこらへんの大人たちはみんな言ってることなんですよね。しかしながら、僕だって自分が浦安市民だったら、成人式の日は「ラッキー!」と思うに決まっています。所詮、その程度のものなのです。成人式にミッキーマウスが来てくれて、それでみんな喜ぶんだったら、バカ新成人がグレートサスケと睨みあうよりよっぽどマシだろう、と。
 WEBなどでもそうなのですが、こういう「中身のない皮肉屋」に対する最大の対処法は、「無視して、心の中で笑いものにする」です。こう言ってはなんですが、天下の朝日新聞に、こんなバカコラムを書いたりしたら、僕だったら恥ずかしくてもう二度と外なんか歩けない。別にディズニーランドを全肯定する必要なんてないのですが、イヤミを言うのにも、天下の朝日のコラムを任されるくらいの人なら、もう少し芸があって然るべきなのではないでしょうか。こういう人は、型どおりの式典を見せられたら、「面白みがない」とか「オリジナリティがない」とか言いそう。
 しかし、浦安市のこの対応も、バカみたいというか、かえって「ディズニーランドべったり」という感じで、あまり良い印象を受けませんよね。みんなが「はいはい」と読み飛ばしているつまんないコラムに対して過剰に反応してしまうと、かえって「オリエンタルランドとの蜜月」を対外的にアピールしているだけのような。こんなの、朝日側が言うとおりに【当該の記事は成人式についての(頭が固い編集部員が)一つの見方を示したもの】でしかなかったのに。
 僕はこのコラムは単なるバカコラムだと思うけど、この程度のオヤジのたわごとにすら抗議するという「オ社に対する浦安市の言論統制」のほうには、むしろ、恐怖すら感じます。「ネズミ踊り」とか書かれたからといって、そんなに過敏に反応するなんて、あまりにも了見が狭すぎます。
 「そんなふうに感じる人もいる」というのは、どうしようもないことのはずだし、「誰かを傷つける」ほどの力がある文章でもないのにねえ。