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2005年02月13日(日)
コミュニケーション上手になるための「質問力」

「日本語トーク術」(古館伊知郎・齋藤孝共著、小学館文庫)より。

(「日本語」に関する、古館さんと齋藤さんの対談の一部です。)

【齋藤:古館さんは、大きなイベントの実況をなさってますでしょう。昔ならプロレスやF1、世界陸上とか。ボブ・サップが出ていたTBSの『ダイナマイト!』。あれなんか準備が大変じゃないですか?

古館:格闘技っていうのは昔から好きで、普段から見ているから、あまり準備しなくてもよくて、慌てて資料整理する必要がないんですね。
 でも、普段見ていないものの実況を単発でやるときは、ある程度のことを知っておかないと実況ができないから、大慌てで勉強するんですよ。司会なら大丈夫なんだけど、実況は基本的にある程度の知識を仕入れておくんです。知った上で自分は知らない振りをして「それでどうなんですか?」って解説者に聞くのが気持ちのいい振り方なんです。本当にわかってなかったら、怖くて聞けないですよ。

齋藤:そうかあ。知ってたうえで振るんですね、知らないことを聞くんじゃダメなんだ。

古館:そう、ある意味でお芝居なんですよね。
 自分でもある程度は答えられるけれど。ここはリアルな感じで、プロである解説者の話を聞いておいたほうが僕が言うよりも信憑性が高いから、「どうなんですか、そのあたり」と聞いて、「あ、そういうことですか」と言って、また実況に戻るというのが、精神衛生上いいわけです。それが、準備不足で臨むと、本当におろおろで、実況ができなくなっちゃうんですよね。

齋藤:なるほどね。僕は「質問力」という概念を作ってみたんですが、これはすごく大事なことだと思っていて、コミュニケーションの上手い人は、だいたい質問が上手いと思っているんです。逆に言うと、質問さえ上手ければ何とかなる。子ども相手に質問するときにも、「どう最近?」とか聞いたんじゃ、なかなか話してくれないんですけれど、「『ジャンプ』読んでる?」とか聞くと、知らない子どもでもどんどん話にのってくれる。振り方によって、違うんですね。
 日本人は、自分が知らないことを聞くのが質問だと思っている人が多いんですよね。学校の授業などは、確かにそうかもしれない。でも、今のお話だと、質問というのは、自分がコミュニケーションをより円滑に増幅していくために質問するんですね。

古館:そういう面はありますね。】

〜〜〜〜〜〜〜

 二人の言葉の達人による、「質問」についての話です。齋藤先生の例えにあるような、「ジャンプ読んでる?」くらいで、本当に子どもとうまく話しができるのかどうかはやや疑問にも思えるのですが、確かに「どう最近?」よりははるかに、「答えやすい質問」ではありますよね。
 古館さんのようにきちんと勉強していなくても、他人との会話の中では、自分が知っていることでもあえて「質問」する場合だってありますし。あまりに「凄いですねえ」「知らなかった」と連呼しているような人はなんだかなあ、と思いますが、そういう場合に「話したい相手」を尊重するというのも円滑な会話の技術ですし、「そんなの知ってます!」とキッパリ言い放つ人というのは、それが事実であっても、なんとなくコミュニケーションを取りづらい感じがします。もっとも、あまりに尊重しすぎて、相手の「自分語り攻撃」から抜け出せなくなってしまう場合も少なくないけれど。

 時々、「質問しても、相手がそれに対して明確な解答をくれない」と嘆いている人がいて、解答者に「そんなこともわからないんですか」と嘲ったり、憤然としていたりするのです。
 でも、そういう人の質問を客観的に聞いていると、そもそも「質問が抽象的でわかりにくい」とか「質問そのものが、解答者の主張のポイントからずれている」とか「そもそも、この人は自分の話をしたいだけで、何も『質問』なんてする気はないんじゃないのか?」とか思うことがけっこうあるのです。
 要するに「答えられない」のではなくて、「答えようがない」質問をしてしまっている状況。
 それなのに、質問している側は、相手が答えを出さないという事実に対して「自分が勝った」と勘違いして、得意気になっていたりもするのです。
 「質問」もコミュニケーションなのだから、本当に解答が欲しいのであれば、質問者のほうだって、なるべく答えやすいように、わかりやすく質問する努力をするべきなのに。

 そう言いながらも、僕の日頃から「調子はどう?」みたいな物の言い方をついついしてしまいますから、少しずつでも「質問される相手の立場になって質問する」ように心がけて生きたいと思います。

 「質問に答えてくれない」「有効な解答が得られない」のは、必ずしも解答者だけの責任だとは限りません。役に立つサイトを探せないのは、検索エンジンのせいだけではなくて(もちろん、目的のサイトそのものが存在しなかったり、検索エンジンの不備というのもありえるのですが)、「検索のしかた」が悪ければ、いくら有能の検索エンジンでも、いつまで経っても役に立つサイトを見つけ出せませんしね。