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2004年12月17日(金)
「100円ライター」の落日

共同通信の記事より。

【伊藤忠エネクスは17日、使い捨てライターの草分けで子会社の東海(東京)を、米国の投資会社「ミングマネジメント」に売却すると発表した。「100円ライター」のヒットで急成長後に破たんし、いったんは再建を果たしたが、安価な中国製の流入で業績が悪化。米国でライター販売会社を持つミングの傘下で再び立て直すことにした。
 売却金額は非公表。来年3月をめどに売却し、伊藤忠エネクスはガソリン卸売りなどに経営資源を集中する。2005年3月期の連結決算で約90億円の売却損を計上、純損益は今年9月に公表した40億円の黒字から、40億円の赤字に転落すると予想している。】

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株式会社「東海」のサイトはこちら。

 僕はタバコを吸わないので、ライターというものにはほとんど縁がありませんでした。でも、この「100円ライター」というのが子供のころはじめて世に出たときには、けっこう驚いた記憶があります。「100円」で、あんな複雑な機会が買えるなんて!と。
 当時は、あの100円ライターというのは、子供心には非常に魅力的なもので、あの丸くてぎざぎざした部分シュッ!と勢いよくまわすと、ポッ、と赤い火が点るのが、なんだかとても魅惑的で、「どのくらい点けていたら、油が切れるのだろう?」なんて、しばらく火を眺めていたりもしたものです。当時はいろんなところに、まだ油が残っている使い捨てライターが転がっていたような気もしますし。マッチだと、どうしても「使い終わったあとのマッチ棒をどこに捨てるか?」というのが問題になりますしね。
 「火遊び」と言われては身も蓋もありませんが、少なくとも子供のころの僕たちにとっては、「100円ライター」というのはけっこう魅力的な道具だったのです。そもそも、高級ライターは、道端に転がってもいなかったし。
 もっとも、そんなに簡単に「火を点けられるもの」が手に入るというのは、なんとなく怖いという気持ちもあったんですけどね。

 ところで、この「東海」という会社、100円ライターのみならず、アウトドアの必需品の「チャッカマン」とか、「コン郎」なんて商品も作っていたのですね。そういう意味では、ライターとは縁遠い生活をしている僕にとっても、意識したことがないだけで、けっこう身近な存在だったと言えるかもしれません。でも、「100円ライター」というのは、20年以上前からあると思うのですが、当時同じように100円だったジュースが120円になったり、それとは逆に、100円ショップでどうみても原価が100円以上の品物が100円になったりしても、頑なに「100円の牙城」を守り続けているわけです(正確には、税込105円)。それが、今の世の中の間隔として高いか安いかというのは微妙なところで、20年前は、「100円なんて安い!」とみんなが思っていたものが、20年経っても同じ値段にもかかわらず、そんなに安くは感じられなくなってしまったところに、この20年間の時代の閉塞のようなものがあるような気もします。喫煙率も、どんどん低下し続けているし。

 正直、この会社のサイトの古式ゆかしきデザインを見ていると、「ああ、やっぱり業績厳しかったのかな…」なんて、つい考えてしまうんですけどね。