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2004年10月07日(木)
インターネット時代の「コレクター魂」

京都新聞の記事より。

【京都市伏見区の京都まつり実行委員会が、区民パレード隊への協賛金と引き換えに渡している醍醐コミュニティーバスの模型「チョロQ」が、市民らの間で人気を集めている。ところが、一部の収集家らが、買い求めた「チョロQ」をホームページ(HP)で高値販売しており、関係者は「本来の趣旨と違った扱い方はやめて」と困惑している。
 「京都文化祭典04」の一環として9月19日に開かれた京都まつりへの補助金数10万円が、市財政悪化を理由にカットされたため、実行委が、同まつりの区民パレード隊の諸費用を工面する目的で、がん具会社と提携し、「チョロQ」6000個を製作した。
 模型は、全長5センチほどで、ぜんまい仕掛けで地面に置いて後方に引いて離すと走行する仕組み。地域住民のバス利用促進を図る狙いもあり、8月末から区役所や深草・醍醐の両支所などで、バスの1日乗車券と同模型をセットに、1000円で渡している。
 区役所などによると、住民や子どもだけでなく、他府県の模型収集家たちが、数10個単位で引き換えており、中にはHPで入札にかけ、高値で取引している、という。
 同区役所醍醐支所の高田民義・まちづくり推進課長は「愛好家のためではなく、まつりへの協賛とバス利用を促進するための模型だ」と、理解を求めている。
 模型は、あと数100個しかなく、10日と17日、11月23日に地域住民の交流の催しで、パレード隊に協賛する人だけに引き渡すことにしている。】

ちなみに、記事全文とこの「チョロQ」の写真はこちらです。

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 先日、「薔薇族」の廃刊の記事について、「インターネットは『アンダーグラウンド』の敷居を劇的に低くした、と書きましたが、こういう「コレクター」たちにとっても、インターネットというツールは、収集の手間を省くのに、非常に効果的なのだろうな、と思います。僕は自分でネットオークションに出品したり落札したりしたことはないのですが、学生時代に欲しかった旧いパソコン(PC9801シリーズとかX68000とか)+昔やりたいけどお金が無くて手が出なかったゲーム、なんていうのに数万円くらいの値がついているのを見ると、「うわっ、欲しいなあ…」と思わず入札したくなってしまいます。だって、こんな旧型のパソコンなんて、ちょっと田舎に行けば、見かけることなんてまずないですし。
 ネットオークションでは、本当にさまざまなものが売られています。「それは『ゴミ』じゃないのか?」とか「その値段で出品・発送する手間を考えたら、全然儲けにならないのではないか?」というような商品もありますが(中には、儲けじゃなくて、捨てるに忍びないので、誰か大事にしてくれる人に譲りたい、という例もあるみたいです)、今まで都会の裏通りにある、ちょっと入りにくいような店でしか買えなかったようなものが、家のパソコンの前で簡単に「落札」できるのだから、コレクターにとっては、まさに「いい時代」になったものです。
 もっとも、「苦労してコレクションしないと、面白くない」なんて向きもあるみたいですけど。

 ところで、この「チョロQ」なのですが、僕は最初これを読んで、ある程度「プレミア化」を狙っておまけにしたのだから、こういう結果になったのは、「成功」なのではないかなあ、とも思ったのです。誰も見向きもしなければ、「おまけ」の効果はないわけですし。
 昨日テレビで観たニュースでは、今度発売される「韓国四天王」のうちのひとりの写真集は、「1冊は見て楽しむため、もう1冊は保存版」として、2冊一度に予約する人が多い、というエピソードが紹介されていました。こういうのは、僕が学生時代のころから、一部では当たり前のように行われてきたことではあるのですが。
 とはいえ、「本当の限定品」の場合、ひとりに買占められると「客寄せ」の効果がなくなってしまうので、こういう「買占め(しかも、買った本人はネットオークションで転売)」というのは、困った行為には違いありません。よくテレビに出ている「激安スーパー」の「100g1円の肉」だって、誰かが全部その値段で買い占めて、100g5円とかで転売されては意味がないのと同じです。
 さまざまな「ちょっとマニアックなもの」にも陽の目があたるようになったのは良い面もたくさんあるのでしょうが、その一方で、「素人のダフ屋化」もみられているんですよね。ネットを使って売りさばくのが簡単になったために「転売目的」で、買う人も出てきていますし。
 「山形の巨乳アナウンサー」とか「醍醐コミュニティーバスのチョロQ」なんていうのは、「インターネット時代」だからこそ、付加価値を生んでいるもののような気もしますが。

 「自分でお金を出して買ったものをどうしようが、客の勝手だろ!」と言われたら、なかなか反論するのは難しいところなのだろうし、この関係者だって、そこまで深刻に「頭を痛めている」わけではないとは思いますけどね。
 内心「なんでこんなものに…」と困惑してはいそうですが。
 
 コレクター魂って、こういうふうに拒絶さえるとさらにヒートアップしがちなんだよなあ…