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2004年06月11日(金)
生活のために「働く女性」と選択肢としての「専業主婦」

共同通信の記事より。

【政府は11日午前の閣議で2004年版の「男女共同参画白書」を了承した。
 それによると、女性の就業をめぐり、「子供ができてもずっと職業を続ける」と中断なし就業を支持する男性が1992年の19・8%から02年は37・2%とほぼ倍増。「子供ができたら職業をやめ、大きくなったら再び職業を持つ方がよい」の一時中断型支持(31・8%)を逆転した。白書は、この意識変化に関し「賃金の伸び悩みやリストラ増加など厳しい経済情勢が影響している」と分析している。
 一方、女性側の意識をみると、中断なし就業支持が増加傾向にあるものの、02年は38・0%で、一時中断型支持が40・6%と上回った。
 夫婦と子供2人の「モデル世帯」で妻が子育て後にパートタイムで再就職した場合、生涯収支の試算は約2400万円の黒字。しかし妻の収入がなければ黒字分の大半はなくなり、厳しい家計の状況が浮き彫りとなった。男性に失業・転職など収入面でのリスクがあるため「今後、家計に占める女性の収入の割合が高まる」と見込んでいる。】

参考リンク:「男女共同参画白書・平成16年版 」の第1部・第3節 男女の意識とライフステージ

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 本題に入る前に。
 この「男女共同参画白書」というのは、WEB上でも見ることができるのですが、けっこう見にくいし、おまけにこの意識調査について、どういう年齢層の人の何人くらいを対象にして調査したのかがわからない(もしくは、非常にわかりにくい)んですよね。こういうのは、そのデータの信頼度にかかわってくることなので、キチンと明示しておいてもらいたいと思います。

 さて、共働きじゃないと、経済的にやっていけない、というのはひとつの「現実」なのかもしれません。でも、それだけが「共働きの理由」ではないような気がします。経済的には共働きを要しない家庭でも夫婦ともに働いている家庭は多いですし。
 僕の母親は、専業主婦だったのですが、僕は子供心に「うちのお母さんも働けばいいのに」とか「女性も仕事を持つべきだ」なんて考えたりもしていたのです。「男女平等」が強く叫ばれていた時代だったし、「働いている友達のお母さん」とか「夕方誰もいない家に帰って好きなテレビを観られる」なんてことに、ちょっと憧れる時期でもありましたし。
 今から考えれば、そういう友達には、それなりの不満もあったのでしょうけど。
 まあ、僕は今でも自分の妻には働いていてもらいたいと考えてはいるのですが、その理由というのは経済的な面というより、「ずっと家にいることで、本人の能力を潰したくない」というのと「ずっと家で待たれていたりすると、僕にとってもプレッシャーが大きい」という気持ちがあるんですよね。
 そういう意味では、この共働きに対する社会の考えの変化としては、経済的な側面と同時に、男の「自信と見栄の喪失」みたいなものも背景にあるのかもしれないなあ、なんて思いました。
 
 実際医者という仕事をしていると、当たり前なのですが周りは「働く女性」ばかりなわけですが、同僚の先生の話を聞いていると、「やっぱり家のことをやってくれるのはありがたい」という男も多いのです。逆に医師免許を持っていても「普通の専業主婦」になる道を選択する人だってけっこういるし、そこまで割り切れなくても、資格を生かしてパートのような形で健診に行ったりするようなケースも多いみたいです。逆に、経済的に満たされていれば、必ずしも「社会に出て働く人生」に喜びを感じる人間ばかりではない、というのも事実だと思います。
 こういうのは、どちらが正しいのかはなんとも言えませんが、今から考えると僕の母親も4人も子供を抱えていましたから、「主婦業だけに忙殺」されていたのかもしれません。
 僕も年をとって、こんなことを考えるようになりました。「専業主婦なんて…」と言う人も多いけど、人間の一生なんて、身近な人間ひとりでも幸せにできれば、それはそれで立派なものなのではないか、と。プール一杯分の水は、ひとりの人間にとっては莫大な量ですが、もしそれが日本中に降り注ぐ雨になるとしたら、僕たちはその水滴を感じられるかどうか?

 僕は「働く女性」を肯定するのと同じように、「専業主婦を選ぶ女性」も肯定したいと思うのです。それは、どちらかが正しい、というよりは、「優れた働く女性」もいれば、「優れた専業主婦」だっているんですよ、きっと。逆に、働いていればいいってものでもないだろうし。
 もちろん、夫婦の関係としてお互いに理解しあえれば、専業主夫だってアリだと思います。僕の周りの女性医師は、みんな「お嫁さんが欲しい!」って言ってますしね。

 いずれにしても、「子供に構う時間を確保するのが難しい時代」であるのは、間違いないことなのですが…